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今回は、相続財産の中で骨董品や美術品の評価方法についてお伝えします。

相続財産の中に、骨董品・美術品がある場合の評価は、原則として「時価」により評価します。

しかし、そのときの時価は骨董品・美術品ごとに変わるため、価格ははっきりわかりません。

そのため、売買実例価額や精通者意見価格などを参考に評価します。

売買実例価額とは、中古市場における相場です。
中古市場に出回っていない物に関しては、類似する物の価額を参考にして評価をします。

精通者意見価格とは、プロの鑑定士による評価額をいいます。

実際に骨董品・美術品を評価をするときには、以下のようなものを参考にします。

 ・ 同様の物が売られている場合にその販売価格
 ・ 買取会社の買取査定価格
 ・ 古美術商などの鑑定価格
 ・ デパートなどでの購入価格

絵画で言えば、「美術年鑑」で絵画の価値を知ることができます。
しかし、その価格は保存状態が完璧で、デパートや画廊が顧客に売却する場合の参考価格なので、
所有している絵画の価値がこの価格で保証されているとは限りません。

実際の価値と購入価格が大きく違うことは有り得ることなので、評価額が大きく変わるかもしれません。

仏具などは本来「非課税財産」ですが、金の仏像など、金の部分に高い価値がおかれるものなどは、
骨董品として取り扱われます。

被相続人や贈与者が販売業者である場合は、たな卸商品としての評価になります。
たな卸商品は、その種類によって評価方法が異なりますが、
所得税や法人税で用いている簿価で評価することもできます。

被相続人が趣味で骨董品や美術品を集めていた場合、
家族でも知らないうちに多数の商品を購入しているケースがあります。
また、骨董品や美術品に興味がない人にとっては、それらの価値はわからないものです。

何気に購入していたものが意外に価値があり、鑑定してもらった結果、
思いもよらない高額な査定価格がついてしまった場合には、相続税が余計にかかってしまいます。

そのため、被相続人が特に大切にしているものなどは、
生前にその骨董品や美術品のことについて詳しく聞いておいても良いかもしれません。



被相続人の死亡によって保険金が支払われたときは、相続税として申告が必要になります。一般的に支払われる死亡保険金には以下のようなものがあります。

・ 生命保険会社、かんぽ、農協などで契約をしている生命保険契約の保険金
 ・ 損害保険会社から、偶発の事故に基因する死亡に伴い支払われる損害保険契約の保険金

それでは、これらの保険金が支払われたときに注意することを以下に説明していきます。

 1)みなし相続財産

みなし財産とは、本来の相続によって取得した財産ではなくても、実質的に相続によって取得した財産をいいます。
相続税法では課税の公平を図るために、その受けた利益などを相続によって取得したものとみなして相続税の課税財産とします。そして、亡くなったときに被相続人が持っていた財産ではないが、被相続人の死亡が原因となって相続人などが受け取る財産も課税されるということです。
その他にも、死亡保険金を相続人が受け取った場合、保険事故がまだ発生していない保険契約を相続人が引き継いだ場合、死亡退職金を相続人が受け取った場合などが、みなし相続財産となります。

 2)課税関係

相続財産とみなされる生命保険金などの価額は、保険金のうち、被相続人が保険料を負担した部分です。
なお、保険料を負担した人により、課税の対象が変わるので注意が必要です。

【保険料を負担したひとが被相続人の部分】・・・みなし相続財産

【保険料を負担したひとが保険金受取人】・・・所得税の対象
※一時金として受け取った額については税務処理上、一時所得になり、年金の場合は雑所得として処理します

【保険料を負担したひとが受取人以外の者】・・・贈与税の対象
※受取人意外の者でも被相続人は除きます

 3)評価方法

保険金の評価方法は受取方法によって異なります。

【一時金による受取】
一時金の価額がそのまま評価額になります。

【年金による受取(有期定期金)】
次のうち、いずれか多い金額が評価額になります。
 ・ 解約返戻金の金額
 ・ 一時金で受け取ることができる場合の一時金の額
 ・ 年平均額×残存期間に応ずる予定利率の複利年金現価率

【年金による受取(終身定期金)】
次のうち、いずれか多い金額が評価額になります。
 ・ 解約返戻金の金額
 ・ 一時金で受け取ることができる場合の一時金の額
 ・ 年平均額×定期金給付契約の目的とされた者の平均余命に応ずる予定利率の複利年金現価率
※保険事故がまだ発生していない場合に、保険契約を相続人が引き継ぐ場合の権利の評価は、解約返戻金の額のうち、被相続人が保険料を負担した部分です。ただし、掛捨て保険の場合の評価はゼロです。

 4)非課税限度額
相続人が受け取った生命保険金などのうち、非課税限度額を超えた分が相続財産となります。
非課税限度額は以下の計算によって算出されます。

非課税限度額=500万円×法定相続人の数

そして、一人ひとりの非課税限度額は以下の計算によって算出されます。
一人ひとりの非課税限度額=(500万円×法定相続人の数)×その相続人が受け取った死亡保険金の合計額÷被相続人のすべての相続人が取得した死亡保険金の合計額
※相続人以外の者が受取人の場合は、その者には非課税の適用はありません
一般的に、生命保険をかけている人は多いと思います。相続が起こり死亡保険金の相続分を把握しておけば、事前に相続税対策ができます。
生命保険金が多額になる場合は、相続税として支払う額が大きくなることもあるので、生命保険金と非課税限度額を事前に知っておくことが重要になります。



一度納めた相続税は、返してもらえる可能性があります。これを、「相続税の還付」といいます。
もちろん全員100%、相続税の還付ができるわけではありませんが、相続税を本来の適正な額よりも多く払いすぎた場合に、「更正の請求」という、間違いを正す申し出をすることができます。

【相続税は専門性がとても高い】
税理士は一般的に法人税、所得税を専門にすることが多く、相続税を専門としている税理士は極めて少数になります。また、相続財産の評価は100人の税理士に依頼すると100通りの評価額が出ると言われるほど、専門性の高い分野です。
つまり、本来の相続税額より多く納税をしている場合には、更正の請求により、払いすぎた税金が返ってくることがあります。

【土地の性質が複数あり、評価が分かれる】
相続が発生した場合、自己申告で税務署に申告をします。しかし、土地評価をすることはとても難しく、相続人が複数の場合は必ず遺産分割が必要になってきます。そのため、自分ですべて評価をして分割をすることは、まず不可能といってよいでしょう。

また、土地が適切に評価されてなく、自己の物差しで分割しようとすれば、当然、不満に思う相続人もいます。のちに、遺産分割・相続が「争続」になる要因にもなります。
不動産は更地だけでなく貸家及びその敷地、借地権等の諸々の利用形態があり、一律の価格ではありません。特に専門性が強い分野になるので、税理士に相談のうえで申告をすることが好ましいです。

相続人は専門性が高く、やり慣れていない相続税の申告作業を10か月という期間で行わなければなりません。
さらに、相続税は自己申告制度をとっているため、間違いによって過大に相続税を申告していたとしても、税務署から間違いを指摘してくることはまずありません。

このような現状から、一度納めた相続税を見直すことでお金が還付されることがあります。

<いつまで還付を受けられるのか?>
相続税の申告期限から5年以内であれば、相続税の還付を求めることができます。
[相続税の申告期限が平成23年12月1日以前の場合]
相続開始日
相続税申告期限 → 更正の請求 → 更正の申出 → 更正の嘆願
 (10ヶ月)       (1年間)     (2年間)      (2年間)

[相続税の申告期限が平成23年12月2日以後の場合]
相続開始日
申告期間 → → → → → → → → → → →更正の請求
(10ヶ月)                             (5年間)
※改正により更正の請求期間が5年以内に延長されました。



遺言を残すことで、自由に自分の財産を処分することが民法で認められています。その一方で、近親者が相続で得られるであろう利益が法律で保護されています。このように、残された家族が受け取ることのできる最低限の財産を「遺留分」といいます。

[遺留分が認められる人]
遺留分は、相続人である次の人にのみ認められています。
① 配偶者
② 子(子が亡くなっている場合は、その代わりとなる孫を含む)
③ 直系尊属(父・母、祖父母)

相続人が兄弟姉妹、甥・姪である場合には遺留分はありません。

相続人それぞれの遺留分は、まず以下の式で「遺留分算定の基礎となる財産」を算出する必要があります。
「遺留分算定の基礎となる財産」=(被相続人が相続開始の時に有していた財産の価額)-(債務の全額:借金のこと)+(生前にした贈与財産の価額:他人からもらった財産)

次に、「遺留分算定の基礎となる財産」に「遺留分の割合」と「法定相続分」を掛け算することで遺留分を出します。「遺留分の割合」は、以下のようになります。
① 相続人が直系尊属(父、母、祖父母)のみである場合:被相続人の財産の3分の1
② その他の場合:被相続人の財産の2分の1

ほとんどの場合、「法定相続分」は半分になります。そのため、例えば相続人が妻と子3人の場合、遺留分の計算は次のようになります。

妻:1/2(遺留分割合)×1/2(法定相続分)=1/4
子それぞれ:1/2(遺留分割合)×1/2(法定相続分)×1/3(子供3人のうち1人分)=1/12
※子へは人数分が法定相続分となるため、上記の例では、子に1/3が分配されます。子が4人の場合には、1/4となります。

ここで、被相続人が「全ての財産を愛人に譲る」、「全ての財産を福祉事業に寄付する」、「全ての財産を長男に譲る」といった遺言を遺したとします。この場合、その遺言により自分の遺留分が侵害されても、遺言を無効にすることはできません。

しかし、遺留分を侵害された人は多くの遺産を受け取った人に、もらい過ぎた分を返還するよう取戻しの請求をすることができます。この権利を「遺留分減殺(げんさい)請求権」といいます。遺留分の減殺請求をするには、その旨の意思表示をするだけで十分です。しかし、減殺請求はいつまでもできるというわけではありません。相手方に対し、期限内に行動を起こさなければなりません。期限内に請求したことを明らかにするために、内容証明郵便で活用することをお勧めします。

家族間で内容証明郵便を送ることには抵抗があるかと思います。しかし、請求の時期や相手方への到達日の証拠となるものですので、形式としてやっておく必要があります。

[減殺請求ができる期限]
減殺請求ができる期限は、「民法で相続の開始、及び減殺すべき贈与または遺贈があったことを知ったとき」から1年間と定められています。「知ったとき」とは

・相続開始(亡くなったこと)を知ったとき・贈与や遺贈がされたことを知ったとき・その贈与等によって自分の遺留分が侵害され、減殺請求の対象と認識したとき

のいずれかを指します。しかし、上記のケースを確認しなかった場合でも、相続開始時から10年を経過すると減殺請求できる権利は消滅します。この場合、遺留分を侵害している相手方との話し合いによって解決されれば良いです。しかし、相手が交渉に応じない場合には、家庭裁判所の調停や審判、裁判によって決着をつけることになります。

減殺請求することができる財産の順位は「遺贈(遺言による財産の一部、または全部)」からとなり、不足があれば「贈与(被相続人からもらった財産)」を減殺することとなります。減殺請求をされた人(財産をもらい過ぎた人)は遺贈された財産の中から支払うこともありますし、自分の資産の中から現金や不動産で支払う場合もあります。財産を既に第三者に譲渡していた場合などは例外として、金銭での弁償を請求することができます。ただ、減殺請求する側が「現金で支払ってくれ」とは請求できません。



前回、遺言のルールについて説明をしましたところ、数件お問い合わせを頂いたので、さらに詳しく説明をしていこうと思います。

遺言(遺言書)の書き方や贈与の種類などを綴っていきました。今回は少し踏み込んだ内容になっているので、専門用語が多いですが、出来る限り簡素化してお伝え出来ればと思います。

【財産処分】
法定相続人の遺留分(残された家族が受け取ることのできる最低限の財産)を侵害しない範囲で、相続人以外の人へ遺贈または遺言での寄付行為、信託(他人に財産の管理、または処分をまかせる)の指定ができます。

【相続分の指定】
法定相続分と異なる相続分を指定できます。指定された相続分以外の財産は法定相続分で相続します。例えば、「妻、長女、次女の相続分はそれぞれ1/3ずつとする」や「自宅土地建物は妻と長男が1/2の割合で共有する」などです。

※法定相続分:民法で定められた、相続人に与えられる財産の取り分

【遺産分割方法の指定】
特定の財産を、特定の相続人に相続させたい場合など、分割方法を指定できます。分割方法は、以下の4つあります。

現物分割:現状のまま分割する方法
価格分割:金銭に換価し、相続分に応じて分割する方法
代償分割:遺産を取得したものから、その代わりとして、他の相続人に金銭で支払う方法
共有:相続人全員で共有する方法

【遺産分割の禁止】
最長、死後5年間は分割を禁止できます。例えば、「三男が成人するまでは分割を禁止する」などです。

【相続人相互の担保責任の指定】
例えば、「長男が不動産全てを相続する。しかし、相続により長男・二男にそれぞれ分割された場合でも、担保責任は長男の負担とし、二男は負わない」などです。被相続人は、遺言によって、この相続人の担保責任を指定(変更)することができます。

また、担保責任を指定する場合は、ある特定の相続人の担保責任を免除、減免することは自由です。しかし、担保責任を加重する結果、一部の相続人の遺留分を侵害する場合には、遺留分減殺請求の対象となる可能性があります。

【遺言執行者の指定】
「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実際に行動にうつし、実現させるために権限を与えられた人です。

遺言執行人は1人でも複数でもよく、また相続人以外の第三者を指定することもできます。遺言執行人は、相続財産の一覧を作成し、相続人に交付します。そして、「認知」や「推定相続人の廃除」を申し立て、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為を行います。 なお、遺言執行者が複数いる場合は、多数決により執行方法を決めます。

「認知」とは
 遺言における認知とは、被相続人と相続人との親子関係を明確するために、市区町村へ戸籍の届出をすることです。この届出は、遺言執行者が行わなければいけません。

「推定相続人の廃除」とは
 近親者であれば相続人になる可能性は高いです。しかし、例外として特定の相続人に相続の権利を与えないことができます。例えば、二男が長年にわたりお金を浪費し、渡さないときは親に暴力を振るうなど、財産を渡したくない場合が該当します。
 この場合、相続開始後に遺言執行者が、家庭裁判所へ「推定相続人の廃除」の申立てをする必要があります。「推定相続人」とは、現状のままで何もなければ相続人となる人をいいます。

 遺贈減殺方法の指定
遺留分減殺(げんさい)請求があった場合に、減殺する順序などを指定することができます。例えば、「長男が遺留分減殺請求をした場合、妻に相続させた財産から減殺し、長女に相続させた財産から減殺しない」などです。

 「遺留分減殺請求」とは
 近親者が、相続で得られるであろう最低限の利益を保証することを「遺留分」といいます。この、遺留分に満たない場合は、財産を多くもらい過ぎた相続人から、一部の財産を請求することができる制度です。

 持戻免除の意思表示
遺言者が生きているときに、特定の人に贈与をする場合があります。この贈与された財産を「特別受益」といいます。本来、この受け取った特別受益の額は相続の対象となりますが、遺言により、相続財産に含めなくても良いという意思表示をすることができます。これを「持戻免除の意思表示」といいます。

しかし、このような場合、ある特定の相続人だけが財産を多くもらうことになります。そのため、持ち戻しを免除される(特別受益を受ける)適正な理由が必要になります。

 後見人・後見監督人の指定
被相続人が亡くなることで、未成年の子供の面倒をみる人がいなくなる場合、その子供の面倒をみる「後見人」を指定することができます。また、その後見人が、きちんと役割を果たしているかを確認する「後見監督人」を指定することができます。そのため、後見人と後見監督人は同一人物ではないことになります。

 指定の委託
遺産分割方法、相続分、遺贈、遺言執行者の指定を、第三者である弁護士などの専門家に委託することもできます。

 遺言の取消
遺言者は、いつでも作成した遺言の全部または、一部を取り消すことができます。

 祭祀主宰者の指定
系譜・祭具・墓などの祭祀財産の所有権は、相続財産とは別に、祖先の祭祀をとりまとめた人が承継することとなっています。その承継する人は、被相続人の指定があればその人が引き継ぎます。
ただし、被相続人より指定された人が引き継がなければ、慣習により決められます。慣習がはっきりとしない場合は、家庭裁判所が承継する人を決めることになっています。


遺言書は、法的な内容を書いておかなければならない書面ですが、補足として、相続分や分割方法を決めた理由、遺言書を作成した意図、作成したときの気持ちなど、遺言者の遺志を書き加えておくことも効果的です。

例えば、財産の価値や数字だけではなく、「自分の死後は、兄弟仲良くしてほしい」、「お母さんの面倒をみんなで見てほしい」、「相続で揉めないようにしてほしい」といった、被相続人の遺志を遺言書に記しておけば、相続人は受け入れやすくなるのではないでしょうか。



今回のコラムは“遺言”についての決まりごとをお伝えします。

遺言とは、亡くなった人が生前に、自分の持っていた財産の処分方法を示し、死後に遺言通りに実行する制度です。
遺言は、亡くなった人の意思であり、唯一、遺族に意思を伝えることができる方法です。

しかし、内容の真意は本人に確かめることはできません。そのため、亡くなった人の意思を保証するために、民法では厳格なルールを定め、決められた手続に従って遺言書の作成を要求しています。民法で定める方式に従わなければ、遺言は無効になります。その他、遺言が無効になる場合を下記に記していきます。

遺言が無効になる場合とは
① 15歳未満の人や、意思能力のない人の遺言
② 遺言者が他人と意思の疎通ができない状態、または遺言した内容を本人が理解できない状態で作成された遺言書
③ 2人以上の遺言者が、同一の証書に記載しているとき
※ご夫婦の共同名義の財産が多くても、遺言書をひとつで済ませることはできません。各自の遺言書を作成する必要があります。

[検認]
検認とは、遺言書を家庭裁判所で内容を確認し、相続人全員に公表することです。遺言は、遺言者が死亡した時から効力が発生します。同時に、遺言者の死亡は相続の開始でもあります。そのため、遺言の内容を相続人全員が知る必要があります。ただし、相続人を全員集め、勝手に公表してはいけません。

遺言書の保管者または発見した相続人は、相続開始後早めに、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、遺言者・相続人全員の戸籍謄本と遺言書(コピーでも可)を提出し、検認の申請をします。

家庭裁判所より日時の通知があったら、遺言書の原本を持っていき、家庭裁判所で内容を確認します。これは、相続人全員に公表すると同時に、内容が以後、書き換えられることを防止するためです。なお、検認の目的は、遺言書の内容を相続人全員に公表することであり、遺言書の「有効」「無効」を判断するものではありません。

封印のある遺言書の場合
封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人、または代理人が立会いをして開封しなければなりません。事前に開封してしまった場合は、罰金が科せられることがあるので注意が必要です。

「事前に開封してしまった」、「検認をしていない」からといって、遺言書が無効になることはありません。ただ、例えば、遺言書に従って不動産の名義を変更しようとする場合は、検認済の遺言書でなければ相続登記ができないなど、後で面倒なことになりかねません。

[遺贈]
遺言によって遺言者の財産の一部、または全部を与えることを「遺贈」といいます。遺贈により財産を受け取る人を「受遺者」といいます。本来、相続人とならない第三者にも遺言で「遺贈」することができ、「受贈者」とすることができます。

遺贈には「包括遺贈」「特定遺贈」「負担付遺贈」「条件付遺贈」の4種類があります。
以下に、これらの特徴を記していきます。

<包括遺贈>
包括遺贈とは、相続財産を特定することなく割合で分ける遺贈です。例えば、「財産の1/3を長男に相続させる」など、一定の割合を特定の人に遺贈することです。

包括遺贈では、受遺者が本来は相続人にならない第三者でも、民法では「相続人と同一の権利義務を持つ」と規定しています。そのため、プラスの財産だけではなく、債務などのマイナスの財産も相続するため、注意が必要です。

また、遺贈の放棄をする場合には、相続人と同様に「相続開始の日から3ヶ月以内」に行う必要があります。

<特定遺贈>
特定遺贈とは、具体的に財産を指定して行う遺贈です。例えば、「株式は二男に相続させる」など、具体的に遺贈する物を指定した形式です。

遺贈を放棄する場合は、相続開始後、いつでも放棄することができます。放棄された財産は、他の相続財産と合わせて相続人が分割することになります。

<負担付遺贈>
負担付遺贈とは、一定の財産を与える代わりに負担も与える遺贈です。例えば、「家を遺贈する代わりに、住宅ローンを払うこと」などです。
ここでいう「負担」とは、必ずしも経済的なものとは限りません。例えば、「妻の介護をしてほしい」や「遺言者の墓を作ること」など、さまざまな負担の内容があります。

<停止条件付遺贈>
停止条件付遺贈とは、遺言書の条件が、遺言者の死亡後に成就されたときに効力が発生するものです。例えば、「孫が結婚をしたときは、土地を遺贈する」など、遺言の条件を満たさないと遺贈が発生しません。

なお、受遺者が遺言者の死亡前に条件を満たしたときは、無条件で遺贈されます。そのため受遺者は、相続が開始されると同時に、その目的物を受け継ぎます。このような場合には遺言者は、遺言を書き直していたほうが、死後の混乱を起こさせないことにもなります。

このように、遺言にはルールが決められているので、自身の遺族に対する想いを伝えるためにも、知っておいた方が良いでしょう。



今回のコラムは、少し変わった(?)内容をテーマに書いていこうと思います。

被相続人が亡くなった場合、相続が発生します。
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日から10か月以内です。しかし、少ない財産だし、相続税はかからないだろうと思いこんで、相続税がかかるが相続税の申告をしていなかった場合はどうなるのでしょうか。そのまま、放っておいて、相続税を納めなくてよいことなど、あるのでしょうか?

まず、相続税の時効について説明したいと思います。

相続税は、原則として相続が発生してから5年経過すると時効が成立します。時効が成立するとは、相続税の申告も納付もしなくてよいということになります。

ただし、5年経過すると時効が成立するのは、相続税の申告や納付をする必要がないと信じきっていた相続人のみとなります。少しでも、相続税の申告をしなければならないとわかっていた相続人の相続税の時効は、7年経過後となります。

では、相続税がかかるとわかっていて、相続税を払わずに時効を迎えることはできるのでしょうか。

結論から言うと、相続税の申告そのものを時効で逃げ切ることは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。税務署というのは、大きなお金の動きや不動産の名義の書き換えを全てチェックしているからです。

そのため税務署は、誰が多額の財産を所有しているのか、十分に把握しており、その人が死亡したという情報は、所得税の申告などからすぐにつかむことができます。よって、相続税を無申告のまま時効を迎えることは、100%ありえないと考えていて間違いありません。

相続の開始があったことを知った日から10か月以内に相続税の申告をしていない場合には、期限後申告をすることになります。さらに、期限後申告にはペナルティーが課せられます。以下にペナルティーの内容を記載しています。

◆税務調査で指摘を受けた後に申告をした場合
[無申告加算税]
納付すべき税額が50万円までは15%、納付すべき税額が50万円を超える部分は20%
[延滞税]
納付期限から2か月間は原則年7.3%、納付期限から2か月を超える場合は14.6%

税務調査で指摘を受ける前に自主的に申告をした場合には、5%の無申告加算税と延滞税で済みます。そのため、期限後申告となってしまう場合でも、早急に対応することが重要です。

また、財産を仮装・隠ぺいして相続税の申告をしていない場合には、40%の重加算税と延滞税が課されますのでご注意ください。



贈与による財産の取得時期はとても重要です。

取得時期によって、納税義務の発生時期、財産評価の評価時期、申告期限および税率の適用など、いろいろなことに影響があるからです。

では、贈与による財産の取得の時期は、いつになるのでしょうか。

例えば雑談のなかで、「土地をあげるよ」「現金をあげるよ」など、話をした場合は成立するのでしょうか。また、書面できっちりと決める場合には、書面を作成した日なのか、実際に財産をあげたときなのか、など様々なケースがでてきます。以下に、それぞれの取得の時期を説明していきます。

【口頭による贈与の場合】
口頭による贈与は、実際に財産をあげるまでは、いつでも撤回することができます。このため、贈与によって財産をあげた時が、財産を取得した時期となります。また、現金や預金、株などの動産の場合は、実際にあげた時です。さらに、不動産の場合には登記の変更が完了したうえで、実際にあげたときが基準になると一般的にされています。

【書面による贈与の場合】
贈与契約書を作成した場合には、贈与契約を交わした日です。つまり、贈与契約書に記載した日付が贈与により財産を取得した時期となります。

ただし、所有権の移転登記、または登録の目的となる不動産や株式などについては注意が必要です。

また、贈与契約が行われてから、何年も登記がされていない場合や、贈与契約書に贈与される財産が明記されていないなどの場合には、特例として、登記による名義変更が行われた時が贈与により財産を取得した時期となります。

【停止条件付贈与の場合】
停止条件付贈与とは、「大学に合格したら土地を与える」というような贈与契約です。約束した条件が成就した時に、贈与が成立するものです。この停止条件付贈与については、条件が成就した時が贈与により財産を取得した時期となります。

【農地等の贈与の場合】
農地等の贈与にかかる取得の時期は、原則として、農地法の規定による許可または届け出の効力が生じた日(許可がおりた日)が財産の取得の時期となります。

また、農地の贈与の取得日には特例があります。農地の所有権の移転についての許可、または、届け出に関する申請書等を農業委員会に提出した場合、許可がおりるまでに時間がかかり、年をまたいで翌年1月1日から3月15日までの間に許可がおりる場合があります。

本来ならば、許可がおりた日が、財産の取得の時期となります。ただこの場合には、申請書等の提出日を贈与があった日として、これを認めることとされています。ただし、贈与税の期限内申告書が提出されていることが前提となります。

このように、さまざまなケースがあるので取得した時期には注意が必要です。



相続は、親族の突然の死亡から開始します。そのため、頭が真っ白になり冷静に考えることができないかもしれません。

今回は、相続が開始されて、申告の手続きまでの流れを簡単に綴っていきます。
もし、ご親族に不幸があった場合、その後にしなければならないことを、少しでも知っておいてください。

相続が発生した場合、葬儀やその他の行事が立て込むことから、相続開始から相続税の申告期限までの期間は精神的にも物理的にも、意外に短く感じるものです。そのため、相続税の申告手続きは、できるだけ早めに、相続人全員の協力のもとに円滑に進めていきたいものです。

ここから、被相続人が亡くなった時の葬儀や相続税の申告、納付について、項目をあげて説明していきます。

 【被相続人の死亡】
 (相続の開始)
 関係者への連絡、葬儀の準備
 ↓
 通夜を執り行う
 ↓
 死亡届の提出 : 死亡届は7日以内に死亡診断書を添付して市区町村長に提出
 ↓
 葬儀
 ↓
 葬式費用の領収書等の整理・保管
 ↓
 初七日法要 : かたみ分けなどを行う
 ↓
 遺言書の有無の確認 : 遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けた後、開封
 ↓
 香典返し : 三十五日忌又は四十九日忌法要のころに行う(ただし葬式費用には含まれません)
 ↓
 四十九日忌法要 : このころまでに納骨などを行う
 ↓
 遺産や債務の概要の把握 : 相続の放棄をするかどうか決める
 ↓
 相続の放棄又は限定承認 : 家庭裁判所に申述
 【被相続人が死亡して3ヶ月以内】
 ↓
 相続人の確認 : 被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せる
 ↓
 所得税の申告と納付 : 被相続人の死亡した日までの所得を税務署に申告(準確定申告)
 【被相続人が死亡して4ヶ月以内】
 ↓
 遺産や債務の調査
 ↓
 遺産の評価・鑑定 : 評価の仕方がわからないときは専門家に相談
 ↓
 遺産分割協議書の作成 : 相続人全員の実印と印鑑証明書が必要
 ↓
 相続税の申告書の作成 : 納税資金の準備、延納または物納にするか検討
 ↓
 相続税の申告と納付 : 被相続人の死亡した時の住所地の税務署に申告、納税
(延納、物納の申請も同時です) 【被相続人が死亡して10ヶ月以内】
 ↓
 遺産の名義変更手続き
 ↓
 不動産の相続登記や預貯金、有価証券の名義書換え

相続の開始は、人が実際に死亡した瞬間です。人の死亡と同時に瞬間的に相続が開始するので、相続人がこれを知っていたかどうかは問わず、申告までのスケジュールを実施しなければなりません。

また、相続が開始されてから申告までは、相続税法上、とても重要な決め事が多数あります。そのため、被相続人が亡くなってからの、しなければならないことを順番に、迅速に進める必要があります。



今回のコラムのテーマは「相続人」についてです。

この相続人ですが、いったいどこまでの親族を指すのか、そして相続財産をもらえる優先順位はあるのか、など意外と知られていないことが多いです。

遠い親戚でも財産をもらう権利があるのか?親戚といってもどこまでをいうのか?などなど、実際に相続が発生した場合、相続人のルールがなければ相続人がどんどん増えてしまいますよね。そこで、ここから相続人についてのルールを説明していきます。

人が亡くなった場合、その人が持っていた財産は相続人に引き継がれます。法律では、亡くなった人のことを「被相続人」と呼び、財産を引き継ぐ権利のある人を「相続人」と呼びます。民法では相続できる人の範囲を定めています。それを「法定相続人」と言います。

遺産を相続しようとするとき、必ず条件が必要になります。このときの条件を満たさなければ、遺産相続の権利すら得ることができません。

【遺産相続の条件】
被相続人が亡くなった時点で生存している配偶者がいれば、どんな時でも相続人になります。事実上、離婚状態で別居をしていても、戸籍上配偶者であれば相続人になります。しかし、籍を入れてない内縁関係にある人は相続人にはなりません。

また、親族が複数名いる場合は財産を引き継ぐ優先順位が下記のように民法で定められています。
[第1順位] 子(孫)
[第2順位] 父母(祖父祖母)
[第3順位] 兄弟姉妹(甥姪)
注)被相続人から見ての親族です

まず、第1順位の子が法定相続人になり、子が既に死亡している場合はその子(孫)が代わりに相続人になります。この、「子もしくは孫」のことを直系卑属といいます。

直系卑属とは、子・孫など【自分より後の世代】で、【直線的に連なっている系統】の親族のことです。また、直系卑属には養子は含まれますが、兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

第2順位である父母は、第1順位の子や孫がいなかったり、相続を放棄したりした場合に初めて相続人になります。この相続人を直系尊属といいます。

直系尊属は、父母・祖父母など【自分より前の世代】で、【直線的に連なっている系統】の親族のことです。また、直系尊属には養父母は含まれますが、叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。父母が既に死亡している場合は、祖父祖母が相続人になります。

第3順位である兄弟姉妹は、子や孫、父母などがいない場合、またはそれらの全ての人が相続を放棄した場合に初めて相続人になります。

このように、相続ができる人の優先順位は決められています。しかし、本来相続人になるべき人が被相続人よりも早く亡くなった場合があります。このときは、「相続人になるべきであった人の子」が代わりとして相続人になります。これを、「代襲相続」といいます。相続が発生する場合には誰に相続をさせるかをルールに従って決めなければいけません。そのため、相続では戸籍の確認も必要となります。

しかし、相続人の範囲と優先順位だけでは分からない場合があります。例えば以下のような例があります。

【養子は相続人になるのか?】
養子縁組をしていれば、養子も実子と同じように相続人になります。再婚しても、連れ子は相続人にはなりませんが、養子縁組をすれば親子関係が生じ、相続人になります。ただし、特別養子縁組をしている場合は、養親だけを相続できることになっています。また、本当に養子なのかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本等を、確認してみて初めて分かることなのです。

【非摘出子(正式婚姻関係のない男女間に生まれた子)は相続人になるのか?】
非摘出子も父親が認知して正式な手続きがされていれば、実子、養子と同じように相続人になります。

【胎児に相続権はあるのか?】
妊婦の夫が亡くなった場合には、妊婦のお腹の胎児にも相続権があります。実際の相続行使は誕生後になります。もし、死んで産まれた場合には相続権は発生しません。

【前妻または前夫は相続人になるのか?】
相続人にはなりません。亡くなった時点での配偶者のみが、相続人となります。

【前妻または前夫との子は相続人になるのか?】
亡くなった方の実の子は相続人になります。ただし、前妻または前夫の連れ子は相続人にはなりません。ただし、連れ子であっても、亡くなった方と養子縁組をしていると相続人となります。

また、養子縁組をしているかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本などを、確認してみて、初めて分かることなのです。

【相続人に行方不明者(音信不通者)がいる場合は?】
相続人には変わりありませんので、行方不明だからといって、相続人からはずすことはできません。もし、行方不明者をはずして遺産分割をしても法的に無効となります。

その行方不明者が後から相続権を主張してくると、相続のすべてがやり直しとなってしまいます。このような行方不明者の生死や現住所を把握する方法としては、亡くなった方の戸籍謄本などから、行方不明者の戸籍謄本類と戸籍の附票を取得することで知ることができます。

以上、遺産を相続できる人について、だいたい把握できましたでしょうか? 

相続人の間違いや勘違いの心配をなくすためには、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等」と「その相続人の戸籍謄本等」を取り寄せ、正確な相続人の把握をする必要があります。

これらのルールをしっかり理解し、相続が起きた時に相続財産をもらう権利について争うことがないようにしたいですね。



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