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贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」のふたつがあります。以下に、ふたつの課税制度について説明をしていきます。

 

暦年課税とは
暦年課税とは、昔からある従来の課税方式です。その年の1月1日~12月31日の1年間に、贈与を受けた財産の価値を基に課税されるものです。ただし、その年に贈与を受けた財産の合計額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税はかかりません。

 

つまり、贈与財産の額が大きい場合でも、毎年、110万円以下ずつ贈与をすれば、贈与税がかからず、財産を贈与することができます。さらに、基本的に基礎控除以下であれば贈与税の申告も必要ありません。

 

仮に、年間110万円を超える場合には、年間の贈与額より110万円を引いた超過分の額ごとに税率が設定されています。

 

相続時精算課税とは
相続時精算課税とは、多くの財産を所有している贈与者が、若い世代へスムーズに贈与ができるようにつくられた課税制度です。平成15年1月1日より施行された、比較的若い制度です。

 

通常の贈与(暦年課税)では、1年間の基礎控除額は110万円です。そのため、年間に110万円を超える贈与が発生した場合には、贈与税額が大きくなってしまいます。

 

一方、相続時精算課税を選択した場合には、特別控除額は相続が発生するまでの累計で2,500万円です。そのため、財産を多く所有している贈与者が、まとめて受贈者へ財産を贈与したいときに、有効な課税制度といえます。

 

相続が発生するまでに、贈与総額が2,500万円を超えた場合は、超えた額に対して一律20%の税率がかけられます。

 

相続時精算課税制度を選択する時には、決まりがあります。下記に、相続時精算課税制度を選択するときの決まりをあげていきます。

 

贈与者 : 65歳以上の親
※平成27年1月1日以後は、税制改正により、60歳以上の親または祖父母

 

受贈者 : 贈与者の推定相続人である20歳以上の子
※平成27年1月1日以後は、税制改正により、贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫

 

なお、相続時精算課税制度を選択する場合には、上記の贈与者と受贈者を特定する必要があります。

 

しかし、相続時精算課税制度にはいくつかのメリットとデメリットがあります。相続時精算課税の特徴を踏まえ、実際に相続が発生したときに、相続税額をふたつの課税制度で十分に検討をする必要があります。そのため、相続に詳しい税理士に相談をして決めることが好ましいです。

 

相続時精算課税のメリット・デメリット

 

[メリット]

 

・ 将来、贈与者が亡くなったときに相続税がかからない場合には、相続時精算課税を選択することにより税負担なく、早めに多額の財産を贈与することができる

 

・ 相続の時には、贈与財産を贈与したときの時価で加算されるため、将来値上がりが見込まれる財産を贈与することにより、値上がり分だけ財産の評価を下げることができる

 

・ アパートなどの収益物件を贈与した場合、家賃収入は受贈者のものとなるため、贈与者の相続財産の増額を回避することができ、相続税対策になる

 

[デメリット]

 

・ 相続時精算課税を選択すると、その贈与者については、選択後は暦年課税に戻せない

 

・ 相続時精算課税による贈与財産は、相続財産に加算されるため、相続財産自体は減らせない

 

・ 相続時精算課税を選択して贈与された物件については、小規模宅地等の特例が適用できない

 

・ 相続時精算課税を選択して贈与された財産については、相続税の物納財産(不動産などの金銭以外の資産)に充てることはできない

 

・ 相続時精算課税を選択した場合には、特定された贈与者からの贈与は、その都度、申告が必要



贈与税の配偶者控除の特例とは、配偶者が居住用不動産の購入または、その建築資金を贈与されたときに贈与された金額から2,000万円まで控除することができるという制度です。

 

贈与税は、相続税を補う税として設けられているものですが、配偶者間の贈与については特別な措置が取られます。

 

なお、この制度による贈与については、110万円の贈与税の基礎控除(生前に財産を分けるときに必要な「贈与税」とはどんな税金か参照)との併用ができるので、合わせると年間2,110万円まで贈与税がかからないことになります。

 

ただし、贈与税とは別に不動産の取得にかかる不動産取得税、登録免許税などの費用がかかることに注意が必要です。

 

ここからは、贈与税の配偶者控除の特例について詳しく説明をしていきます。

 

配偶者控除の適用要件

 

・ 婚姻期間が20年以上であること
・ 今までに配偶者控除を受けていないこと(同一夫婦間で1度だけ適用可能)
・ 贈与財産は、居住用不動産、または居住用不動産の取得資金のいずれかであること
・ 贈与税の申告をすること
・ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された、または取得した居住用不動産に居住して、その後も引き続き居住する見込であること

 

配偶者控除の特例を適用したときのメリット

 

[相続税対策]

 

贈与税の配偶者控除を適用した贈与のうち、この特例により控除した金額部分については、相続開始前3年以内の生前贈与の加算対象にはなりません。

 

たとえ、贈与をした年に相続開始となってしまった場合でも、特例の適用が認められることになります。

 

[所得税対策]

 

この特例を適用して、居住用財産を夫婦の共有財産にしておくと、将来自宅を売却する際に、居住用財産の売却益に対する3,000万円の特別控除という特例を夫婦で適用することができるため、合計で6,000万円の売却益まで税金がかからなくなります。

 

3,000万円の特別控除の特例は、土地の場合、家屋とともに譲渡する土地に限られるため、居住用不動産を配偶者に贈与する時には、家屋部分も贈与しておくことが必要になります。

 

なお、贈与税の配偶者控除については、相続税対策によく使われます。しかも、贈与をする際に、何を贈与するかによって納税額が変わります。財産を多く持っている人は、「どの財産」を「いつ」、「だれに」、「どれくらい」贈与すればよいのか、専門家に相談のうえで、事前に把握しておくことが必要です。



贈与税を納税する人は、原則として、贈与により財産を取得した個人に課税されます。つまり、現金や不動産などの財産を受け取った人に贈与税がかかるということです。

 

ここでいう「個人」とは、所属する団体や地位などとは無関係な立場に立った、人間として人格を持つ一人を指します。つまり、生身の人間のことを指します。

 

ただし、贈与税の税負担の公平を図るために、人格のない社団等(PTA、同窓会、町内会などのうち、代表者または管理者の定めのあるもの)や、持分の定めのない法人(一般財団法人、一般社団法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人など)も個人とみなして課税する場合もあります。

 

このとき、贈与税を納税する義務がある人には、「無制限納税義務者」、「制限納税義務者」のふたつに分けられます。

 

無制限納税義務者
無制限納税義務者では、国内、国外にある全ての財産が贈与税の課税対象になります。さらに、無制限納税義務者のなかでも、ふたつに分かれます。

 

居住無制限納税義務者 : 贈与により財産をもらった個人で、その財産をもらった時において日本国内に住所を有する人

 

非居住無制限納税義務者 : 贈与により財産をもらった日本国籍を有する個人で、その財産をもらった時において、日本国内に住所があった人(その個人または、贈与をした人が、贈与前5年以内のいずれかの時において、日本国内に住所があった場合に限ります)

 

制限納税義務者
制限納税義務者とは、贈与により、日本国内にある財産をもらった個人で、その財産をもらった時に、日本国内に住所があった人をいいます。(非居住無制限納税義務者に該当する人を除きます)

 

もらった財産のうち、国内にある財産だけが贈与税の課税対象となります。



相続税の計算方法を簡単に説明します。

 

相続税の額を算出するには、下記の5つのステップを行う必要があります。

 

[ステップ1] 相続税の課税価格の計算

 

最初に、相続または遺贈により、財産を取得した人ごとに課税価格を計算し、それらの合計した課税価格を求めます。

 

【課税価格の計算式】

 

① 相続または遺贈により取得した財産の価額

② みなし相続等により取得した財産の価額

③ 非課税財産の価額

④ 相続時精算課税に係る贈与財産の価額

⑤ 相続開始前3年以内の贈与財産の価額

⑥ 債務及び葬式費用の額

各相続人の課税価格(千円未満切捨)

 

難しい言葉ばかりのため、順番に説明していきます。

 

① 相続または遺贈により取得した財産の価額とは?
被相続人(亡くなった人)が相続開始の時に有していた財産です。現金、預貯金、土地、建物、有価証券、電話加入権、家具、宝石、車などがあります。

 

② みなし相続等により取得した財産の価額とは?
本来は相続財産ではないが、死亡を原因として、実質的に被相続人が有していたとみなされる財産のことです。死亡保険金、死亡退職金、生命保険契約に関する権利などがあります。

 

③ 非課税財産の価額とは?
性質、国民感情、社会政策的な面から、相続税をかけるのは不適当と思われるものが、非課税財産にあたります。例えば、墓地、仏壇等、国などに寄付財産、生命保険金・死亡退職金のうちの一定額などです。(詳しくは「財産評価の基本知識:相続税がかかる財産、かからない財産」参照)

 

④ 相続時精算課税に係る贈与財産の価額とは?
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産の贈与時の価額です。相続時精算課税制度とは、簡単に説明すると贈与税の負担を少なくして、生前贈与ができる制度のことです。(詳しくは「贈与の基本知識:相続時精算課税と暦年課税」参照)

 

⑤ 相続開始前の3年以内の贈与財産の価額とは?
相続または遺贈により、財産を取得した相続人が、相続開始前3年以内にその被相続人からの暦年課税にかかる贈与によって取得した財産の価額です。暦年課税とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の贈与によって得た財産の金額が110万円を超えた場合に課税される方式です。(詳しくは「贈与の基本知識:相続時精算課税と暦年課税」参照)

 

⑥ 債務及び葬式費用の額とは?
債務とは、相続開始の時においてまだ支払っていなかった借入金、税金、入院費用などです。葬式費用とは、被相続人の通夜、葬儀に関して支払った費用です。ただし、初七日、四十九日などの支払いは含めません。

 

[ステップ2] 課税価格から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算

 

【課税遺産総額の計算式】

 

①相続税の課税価格の合計 - ②基礎控除額 = 課税遺産総額

 

①相続税の課税価格の合計は、[ステップ1]で求めた相続人ごとの課税価格の合計です。
②基礎控除額は、相続人の数や家族構成により異なります。なお、平成27年1月1日より税制改正のため、基礎控除額に変更があります。大事なポイントなので、改正前と改正後について例を挙げて説明していきます。

 

 

【相続における基礎控除額の計算式(改正前:平成26年12月31日まで)】

 

基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 

例えば、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

 

基礎控除額が8,000万円なので、この基礎控除額を超える財産の相続があった場合に、初めて相続税の対象となります。
しかし、配偶者と子供2人が相続した財産が、8,000万円以下の場合には相続税の対象外となり、相続税の申告をする必要もありません。これは、8,000万円までの相続額は除外されるからです。

 

【相続における基礎控除額の計算式(改正後:平成27年1月1日から)】
基礎控除額は、平成27年1月1日より大きく改正されることになりました。改正後の計算式は以下の通りです。

 

改正後の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

先ほどの例で、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

改正前の制度では、8,000万円であった基礎控除額が4,800万円になります。つまり、配偶者と子供2人が相続した財産が、4,800万円を超える場合には相続税の対象になります。

 

基礎控除額を正確に把握するために、法定相続人の数を知っておく必要があります。法定相続人とは、民法によって定められた相続人のことです。

 

[ステップ3] 課税遺産総額を法定相続分に応じて、各相続人に振り分ける

 

法定相続分とは、民法で定められた相続人への分配の割合です。下記に例を挙げ割合を記しています。

 

1)配偶者と子が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 1/2
・ 子の相続分 1/2

 

2)配偶者と直系尊属(父、母、祖父母)が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 2/3
・ 直系尊属の相続分 1/3

 

3)配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 3/4
・ 兄弟姉妹の相続分 1/4

 

上記1)2)3)の順番で優先順位が決まっており、「子」、「直系尊属」、「兄弟姉妹」が複数いる場合は、上記のそれぞれの割合の中で均等に分けられます。

 

【例】 妻と子2人で課税遺産総額が1億円の場合

 

妻 1億円 × 1/2 = 5,000万円
子 1億円 × 1/4 = 2,500万円
子 1億円 × 1/4 = 2,500万円

 

[ステップ4] 相続税の総額の計算

 

法定相続分に応じた各相続人の取得金額に、下記に記す税率を適用して、各相続人の税額を計算します。そして、各相続人の税額を合計し、相続税の総額を算出します。

 

現行の税率速算表(改正前:平成26年12月31日まで)

相続税の総額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円
【例】 妻と子2人で課税遺産総額が1億円の場合

 

(1)妻 5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円
子 2,500万円 × 15% -  50万円 = 325万円
子 2,500万円 × 15% -  50万円 = 325万円

 

(2)妻800万円 + 子325万円 + 子325万円 = 1,450万円

 

※なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により下記の速算表の税率を適用し、各相続人の税額を計算します。

 

改正後の税率速算表(改正後:平成27年1月1日から)
相続税の総額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
 
[ステップ5] 各人の納付税額の計算

 

(1)相続税の総額を、各人の課税価格に応じて割り振って、各人ごとの税額を計算します。

 

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各人の相続税額

 

(2)相続または遺贈によって、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の人である場合には、相続税額に20%相当額を加算します。

 

(3)各人の税額から各種の税額控除額を差し引き、各人の納付税額を計算します。

 

 

各種税額控除の説明

 

【贈与税額控除】
贈与税額控除では、相続開始前3年以内に、被相続人からの贈与により取得した財産について、すでに贈与税が課税されている場合には、以下の計算した額を相続税額から控除します。

 

ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

 

[計算式]
贈与を受けた年分の贈与税額
×
相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額
÷
その年分の贈与税の課税価格に算入された財産の価格の合計額

贈与税額控除額

 

【配偶者に対する相続税額の軽減】
被相続人の配偶者が、遺産分割や遺贈により取得した遺産額が、以下の金額のどちらか多い金額までは相続税はかかりません。

 

① 1億6千万円
② 配偶者の法定相続分相当額

 

配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

 

【未成年者控除】
未成年者控除が適用されるのは、次のすべての条件に当てはまる人です。

 

① 相続または遺贈により財産を取得したときに、日本国内に住所がある人または、日本国内に住所がない人であっても次のいずれにも当てはまる人
・その人が日本国籍を有している。
・その人または被相続人が、相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことがある
② 被相続人の法定相続人であること
③ 20歳未満の者であること

 

[計算式]
6万円 × 満20歳になるまでの年数 = 未成年者控除額

 

なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により、下記の計算式により未成年者控除額を計算します。

 

10万円 × 満20歳になるまでの年数 = 未成年者控除額

 

【障害者控除】
障害者控除が適用されるのは、次のすべてに当てはまる人です。

 

① 相続または遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がある人
② 被相続人の法定相続人であること
③ 85歳未満の者であり、かつ、障害者に該当すること

 

[計算式]
6万円(特別障害者12万円) × 満85歳になるまでの年数 = 障害者控除額

 

なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により下記の計算式により障害者控除額を計算します。

 

10万円(特別障害者20万円) × 満20歳になるまでの年数 = 障害者控除額

 

【相次相続控除】
1回目の相続があってから10年以内に、1回目の相続の相続人を被相続人とした2回目の相続があった場合、1回目の相続税の一部を2回目の相続の相続税から控除されることになります。

 

【外国税額控除】
外国にある財産を取得した場合に、外国で相続税に相当する税金を払ったとき、外国で払った税金分を日本の相続税額から控除します。外国税額控除額は、以下のどちらか少ない方の金額になります。

 

① 外国で支払った税金の額
② 【贈与税額控除】から【相次相続控除】までを控除した後の相続税額 × 海外にある財産の価額 ÷ 相続人の相続財産の額

 

【相続時精算課税分の贈与税額控除】
相続時精算課税により財産を取得した者は、相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その人の相続税額からその贈与税額に相当する金額を控除します。
ただし、当該贈与税額には、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。控除により、マイナスとなった金額があれば還付されます。



人が亡くなった場合には、その人が持っていた財産は相続人に引き継がれます。法律では、亡くなった人のことを「被相続人」と呼び、財産を引き継ぐ権利のある人を「相続人」と呼びます。民法では相続できる人の範囲を定めています。それを「法定相続人」と言います。

 

遺産を相続しようとするとき、必ず条件が必要になります。このときの条件を満たさなければ、遺産相続の権利すら得ることができません。

 

遺産相続の条件
被相続人が亡くなった時点で生存している配偶者がいれば、どんな時でも相続人になります。事実上、離婚状態で別居をしていても、戸籍上配偶者であれば相続人になります。しかし、籍を入れてない内縁関係にある方は相続人にはなりません。

 

また、親族が複数名いる場合は財産を引き継ぐ優先順位が下記のように民法で定められています。

 

[第1順位] 子(孫)
[第2順位] 父母(祖父祖母)
[第3順位] 兄弟姉妹(甥姪)

 

まず、第1順位の子が法定相続人になり、子が既に死亡している場合はその子(孫)が代わりに相続人になります。この、「子もしくは孫」のことを直系卑属といいます。

 

直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系卑属には養子は含まれますが、兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

 

第2順位である父母は、第1順位の子や孫がいなかったり、相続を放棄したりした場合に初めて相続人になります。この相続人を直系尊属といいます。

 

直系尊属は、父母・祖父母など自分より前の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系尊属には養父母は含まれますが、叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。父母が既に死亡している場合は、祖父祖母が相続人になります。

 

第3順位である兄弟姉妹は、子や孫、父母などがいない場合、またはそれらの全ての人が相続を放棄した場合に初めて相続人になります。

 

このように、相続ができる人の優先順位は決められています。しかし、本来相続人になるべき人が被相続人よりも早く亡くなった場合があります。このときは、「相続人になるべきであった人の子」が代わりとして相続人になります。これを、「代襲相続」といいます。相続が発生する場合には誰に相続をさせるかをルールに従って決めなければいけません。そのため、相続では戸籍の確認も必要となります。

 

しかし、相続人の範囲と優先順位だけでは分からない場合があります。例えば以下のような例があります。

 

【養子は相続人になるのか?】
養子縁組をしていれば、養子も実子と同じように相続人になります。再婚しても、連れ子は相続人にはなりませんが、養子縁組をすれば親子関係が生じ、相続人になります。ただし、特別養子縁組をしている場合は、養親だけを相続できることになっています。また、本当に養子なのかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本等を、確認してみて初めて分かることなのです。

 

【非摘出子(正式婚姻関係のない男女間に生まれた子)は相続人になるのか?】
非摘出子も父親が認知して正式な手続きがされていれば、実子、養子と同じように相続人になります。

 

【胎児に相続権はあるのか?】
妊婦の夫が亡くなった場合には、妊婦のお腹の胎児にも相続権があります。実際の相続行使は誕生後になります。もし、死んで産まれた場合には相続権は発生しません。

 

【前妻または前夫は相続人になるのか?】
相続人にはなりません。亡くなった時点での配偶者のみが、相続人となります。

 

【前妻または前夫との子は相続人になるのか?】
亡くなった方の実の子は相続人になります。ただし、前妻または前夫の連れ子は相続人にはなりません。ただし、連れ子であっても、亡くなった方と養子縁組をしていると相続人となります。

 

また、養子縁組をしているかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本などを、確認してみて、初めて分かることなのです。

 

【相続人に行方不明者(音信不通者)がいる場合は?】
相続人には変わりありませんので、行方不明だからといって、相続人からはずすことはできません。もし、行方不明者をはずして遺産分割をしても法的に無効となります。

 

その行方不明者が後から相続権を主張してくると、相続のすべてがやり直しとなってしまいます。このような行方不明者の生死や現住所を把握する方法としては、亡くなった方の戸籍謄本などから、行方不明者の戸籍謄本類と戸籍の附票を取得することで知ることができます。

 

以上、遺産を相続できる人について、だいたい把握できましたでしょうか? 相続人の間違いや勘違いの心配をなくすためには、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等」と「その相続人の戸籍謄本等」を取り寄せ、正確な相続人の把握をする必要があります。



山陽新聞(平成30年2月7日号)
「急がれる円滑な事業承継」 に掲載されました。



平成24年に実際に亡くなった人の相続税の課税割合は4.2%です。これは、「亡くなった人100人のうち、相続税がかかるのは4人程度」ということです。何も残さずに亡くなる人は少ないはずなのに、どうして4.2%の人にしか相続税がかからないのでしょうか?

 

相続税がかかるには、条件が必要です。この条件を学ぶことで、あなたに相続税がかかるかどうか判断できるようになります。

 

相続税を支払う人の条件とは
相続税は、財産を相続した全ての人にかかるのではなく、正味の相続財産(プラスの相続財産-マイナスの相続財産)である課税価格が一定の額を超える場合にだけかかります。

 

一定の額以内であれば相続税がかからないわけです。これを基礎控除額といいます。この基礎控除額とは、いったいどのくらいなのでしょうか?

 

基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 

例えば、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

 

基礎控除額が8,000万円ということは、この基礎控除額を超える財産の相続があった場合に、初めて相続税の対象となるということです。

 

配偶者と子供2人が相続した財産が8,000万円以下の場合には相続税の対象外となります。8,000万円までの相続額は除外されるからです。また、相続税の申告をする必要もありません。相続税がかからないケースが多いのもうなずけます。

 

 

相続税改正後の基礎控除額
ただ、基礎控除額は、平成27年1月1日より大きく改正されることになりました。今回の改正により、相続税の課税割合は増えると予測されます。

 

では、改正後の基礎控除額はどのくらい変わってくるのでしょうか? これは、「改正後の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」 へと4割程度減額します。

 

先ほどの例で、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

現在の制度では、8,000万円であった基礎控除額が4,800万円になります。つまり配偶者と子供2人が相続した財産が4,800万円を超える場合には、相続税の対象になります。

 

基礎控除額を正確に把握するために、法定相続人を知っておきましょう。法定相続人とは、民法によって定められた相続人のことです。具体的には次の人たちです。

 

① 配偶者と子(孫)
② 配偶者と父母(祖父祖母)
③ 配偶者と兄弟姉妹(甥姪)

 

配偶者は常に相続人になります。それと併せて、法定相続人になる人は①から③の順です。法定相続人の数が分かれば、基礎控除額がどのくらいになるかを把握できます。

 

※1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の数をいいます。
例えば、子供2人が財産をもらわず、亡くなった人の配偶者だけが財産をもらっていても、基礎控除額は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円となります。

 

※2 相続人の中に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数については、次の通り制限があります。

 

<被相続人に実子がいる場合>
→ 養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
例えば、配偶者と実子1人、養子2人の場合
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
※実子がいるため、養子の数は1人までしか算入できません。

 

<被相続人に実子がいない場合>
→ 養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
例えば、配偶者と養子2人の場合
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
※実子がいないため、養子の数は2人まで算入できます。

 

ただし、小規模宅地の特例や特定計画山林の特例などを適用することにより、課税価格の合計額が基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要がありますのでご注意下さい。

 

なお、相続税額は、相続財産、法定相続人、基礎控除額などをそれぞれ正確に把握しなければ、算出できません。そのため、必ず税理士にご相談ください。



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被相続人の相続財産は原則、法定相続人が引き継ぐことになります。

 

しかし、本来相続人でない人にも財産を遺したい場合は、財産を贈与する「遺贈」という形で、遺言でその意思を伝えなければなりません。

 

※遺言を作成した被相続人(遺言者)よりも先に、遺言で財産を取得することになる人(受遺者)が死亡しているときは、その死亡した受遺者が受けるべきであった部分は除外されることになります

 

受遺者の相続人がその権利を相続することはできません。しかし、受遺者が亡くなっていることを想定し、遺言書に「受遺者が死亡しているときはその子に遺贈する」という意思表示がされていれば、受遺者の相続人が遺言者からの遺贈を受けることができます。

 

また、遺言書を実行するときに、遺言書に記載されていた財産の一部が既に処分されていた場合は、その部分は除外されますが、その他の遺言条項には影響はありません。

 

遺言は遺言者の一方的な意思表示なので、受け取る側は、遺贈の放棄をすれば「もらわない」という選択が可能ですが、遺贈の形式によって放棄できる期限があるので注意が必要です。

 

包括遺贈 : 遺産を特定することなく割合で指定する形式の場合
相続人と同一の権利義務を有することになるため、通常の相続と同様に、遺贈の放棄や限定承認は「遺贈があったことを知った日から3ヶ月以内」に行う必要があります。

 

 特定遺贈 : 具体的に財産を指定する形式の場合
いつでも遺贈の全部又は一部を放棄することができます。
放棄された遺産については分割協議を行うことになります。
遺贈により財産を取得した者も相続税を納める義務があります。

 

相続税の計算は、相続又は遺贈によって取得した財産の価格の合計が課税遺産総額となります。また、相続税の基礎控除は、受遺者が法定相続人でない場合、基礎控除の計算の数には含まれません。

 

さらに受遺者が被相続人の一親等の血族・配偶者でない場合には、その者の相続税額が2割加算されます。

 

一親等の血族とは、自分を基準とすると養親・養子も含む親と子です。

 

子が既に亡くなり、代襲して相続人となる孫には2割加算はありませんが、子供が生きていて孫を養子としている場合は、子という関係から除かれ、2割加算の対象となります。

 

また、兄弟姉妹以外の相続人は、「遺留分」という、遺言によっても侵害できない権利が与えられています。

 

遺留分を侵害する遺贈となると、遺留分を有する相続人から減殺請求をされてしまい、結局その限度までしか遺贈が認められなくなってしまいますので、遺言を書く際に注意が必要です。




この度、山陰事務所は以下の住所に移転いたしました。

【新住所】
〒683-0001 鳥取県米子市皆生温泉二丁目7番14号

※電話番号、FAX番号は変わりません。

今後とも一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。



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