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一般的に使用する遺言には、「普通方式」と呼ばれる民法で定められた形式があります。遺言の残し方や遺言書の保管方法により、普通方式はさらに「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類に分類されます。

 

以下に、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のメリットやデメリット、その特徴について記していきます。

 

自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言をする人が自ら書く遺言です。

 

【メリット】
・費用がかからず、いつでも作成できる

 

【デメリット】
・証書の紛失、改変するリスクがある
・相続が開始した場合に家庭裁判所で自筆証書遺言の検認手続が必要
・遺言の内容が決められた要件を満たされていない場合には無効になる

 

民法で定められた自筆証書遺言の要件
①全文を自筆で書く
・文字を書くことができる用紙に、ペンや万年筆など消せないペンで書く
・パソコンや点字機などの器具は使用不可
・ビデオレターのように映像で行う場合は無効

 

②日付を自書する
・ゴム印で日付を入れたり、吉日と書いたりしたものは無効

 

③氏名を自書する
④押印する(押印の習慣のない外国人はサインでも良い)
⑤内容について紛らわしい書き方をしない
・「不動産については長男に任せる」といった内容では、相続して管理していくことを委ねたのか
財産の分け方を長男に委ねたのか、相続人で捉え方が分かれるような書き方は避けるべきです。

 

内容について加除や変更をする場合、遺言者がその場所を指示し、変更した旨を付記して署名します。また、変更した箇所にも押印しておく必要があります。

 

公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人(弁護士、司法書士など)に口頭で内容を伝え、書いてもらう遺言です。

 

【メリット】
・原本は公証人役場で保管するので、紛失・改変の恐れがない
・相続が開始した場合に家庭裁判所で検認をする必要がない
・体が不自由で字を書けない、口が利けない人でも作成ができる

 

【デメリット】
・費用がかかる
・手順が面倒

 

公正証書遺言の作成手順
①遺言にあたって、2人以上の立ち会いが必要
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述
③公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせる
④遺言者及び証人が、筆記の正確なことを確認した後、各自署名押印する
⑤公証人が、この証書は上記の方式に従って作成したものである旨を記して、署名押印する

 

耳の不自由な方は、手話通訳や筆談で公証人に伝えることで作成が可能です。手が不自由で代筆や添え手が必要な場合も、その介助した人の意思が入ることを疑われかねないので、公正証書遺言にすべきです。

 

作成に費用がかかり、手順が面倒だという点もありますが公証人が作成するため、形式での不備が生じる心配はありません。さらに、原本は公証人が管理するため紛失や偽造の心配もありません。

 

 

秘密証書遺言
秘密証書遺言とは、遺言内容を一切公表せずに作成する遺言です。

 

【メリット】
・自筆でなくても良いので、パソコンでの作成が可能
・知られたくない内容でも亡くなるまでは見られない
・原本は公証人役場で保管されるため、紛失・改変の恐れがない

 

【デメリット】
・遺言の内容が決められた要件を満たされていない場合には無効になる
・遺言の内容によっては、かえって相続人同士でのトラブルの原因になりえる
・遺された遺族に家庭裁判所での「検認」や「遺言執行者の選任」が必要となり、手間や費用がかかる

 

秘密証書遺言の作成手順
①遺言者が、その証書に署名し、印を押す
②遺言者がその証書を封入し、証書に用いた印章をもってこれに封印する
③遺言者が、公証人1人、及び証人2人以上の前に封書を提出して、それが自分の遺言書である旨並
びにそれを書いた人の氏名及び住所を申述する
④公証人が、その証書を提出した日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者及び証人ととも
にこれに署名し、押印する

 

秘密証書遺言の場合は、自分で署名ができれば、内容についてはパソコンや点字機を使っての作成が可能です。外国にいる日本人が公正証書または秘密証書によって遺言を作成しようとするとき、公証人の職務は、その国の領事が行うこととなります。

 

遺言書はいつ作るのが良いか?
遺言書を作るのは、このページを開いた「今」このときかもしれません。「思い立ったが吉日」です。試しに一度作成してみましょう。

 

自筆証書遺言として様式が間違っていないか不安であれば、今のうちに専門家にチェックしてもらってもよいかも知れません。遺言は何度でも書き直すことができます。

 

大病をした時、死期を感じた時などに、遺言を書いておこうと思う人が多いと思います。しかし、体調がすぐれないとき、気持ちが沈んでいるときに、きちんとした遺言書を作成するのは大変なことです。民法で満15歳に達した者は、遺言をすることができることとなっています。元気なときに作成しておいて、内容に変更があれば書き換えればいいのです。

 

意思能力がない人の遺言は、無効となることも注意すべき点です。精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)により、判断能力が欠けている状態では遺言はできません。

 

しかし、意思能力が回復しているときで、その遺言内容を自ら理解している状態であれば、遺言をすることができます。その場合、医師2人以上の立会いのもと、一時的に遺言をすることができる状態にあったことを遺言書に付記してもらう必要があります。

 

いつ、このような状況になるかわかりません。そのために、意識がしっかりしているうちに、遺言書を作成しておくことが、大事になってきます。



民法により、遺言で認められる事項は決められています。以下に、その内容を記していきます。

 

財産処分
法定相続人の遺留分(残された家族が受け取ることのできる最低限の財産)を侵害しない範囲で、相続人以外の人へ遺贈または遺言での寄付行為、信託(他人に財産の管理、または処分をまかせる)の指定ができます。

 

相続分の指定
法定相続分と異なる相続分を指定できます。指定された相続分以外の財産は法定相続分で相続します。例えば、「妻、長女、次女の相続分はそれぞれ1/3ずつとする」や「自宅土地建物は妻と長男が1/2の割合で共有する」などです。

 

※法定相続分:民法で定められた、相続人に与えられる財産の取り分

 

遺産分割方法の指定
特定の財産を、特定の相続人に相続させたい場合など、分割方法を指定できます。分割方法は、以下の4つあります。

 

現物分割:現状のまま分割する方法
価格分割:金銭に換価し、相続分に応じて分割する方法
代償分割:遺産を取得したものから、その代わりとして、他の相続人に金銭で支払う方法
共有:相続人全員で共有する方法

 

遺産分割の禁止
最長、死後5年間は分割を禁止できます。例えば、「三男が成人するまでは分割を禁止する」などです。

 

相続人相互の担保責任の指定
例えば、「長男が不動産全てを相続する。しかし、相続により長男・二男にそれぞれ分割された場合でも、担保責任は長男の負担とし、二男は負わない」などです。被相続人は、遺言によって、この相続人の担保責任を指定(変更)することができます。

 

また、担保責任を指定する場合は、ある特定の相続人の担保責任を免除、減免することは自由です。しかし、担保責任を加重する結果、一部の相続人の遺留分を侵害する場合には、遺留分減殺請求の対象となる可能性があります。

 

遺言執行者の指定
「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実際に行動にうつし、実現させるために権限を与えられた人です。

 

遺言執行人は1人でも複数でもよく、また相続人以外の第三者を指定することもできます。遺言執行人は、相続財産の一覧を作成し、相続人に交付します。そして、「認知」や「推定相続人の廃除」を申し立て、相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為を行います。 なお、遺言執行者が複数いる場合は、多数決により執行方法を決めます。

 

「認知」とは
遺言における認知とは、被相続人と相続人との親子関係を明確するために、市区町村へ戸籍の届出をすることです。この届出は、遺言執行者が行わなければいけません。

 

「推定相続人の廃除」とは
近親者であれば相続人になる可能性は高いです。しかし、例外として特定の相続人に相続の権利を与えないことができます。例えば、二男が長年にわたりお金を浪費し、渡さないときは親に暴力を振るうなど、財産を渡したくない場合が該当します。

 

この場合、相続開始後に遺言執行者が、家庭裁判所へ「推定相続人の廃除」の申立てをする必要があります。「推定相続人」とは、現状のままで何もなければ相続人となる人をいいます。

 

遺贈減殺方法の指定
遺留分減殺(げんさい)請求があった場合に、減殺する順序などを指定することができます。例えば、「長男が遺留分減殺請求をした場合、妻に相続させた財産から減殺し、長女に相続させた財産から減殺しない」などです。

 

「遺留分減殺請求」とは
近親者が、相続で得られるであろう最低限の利益を保証することを「遺留分」といいます。この、遺留分に満たない場合は、財産を多くもらい過ぎた相続人から、一部の財産を請求することができる制度です。

 

持戻免除の意思表示
遺言者が生きているときに、特定の人に贈与をする場合があります。この贈与された財産を「特別受益」といいます。本来、この受け取った特別受益の額は相続の対象となりますが、遺言により、相続財産に含めなくても良いという意思表示をすることができます。これを「持戻免除の意思表示」といいます。

 

しかし、このような場合、ある特定の相続人だけが財産を多くもらうことになります。そのため、持ち戻しを免除される(特別受益を受ける)適正な理由が必要になります。

 

後見人・後見監督人の指定
被相続人が亡くなることで、未成年の子供の面倒をみる人がいなくなる場合、その子供の面倒をみる「後見人」を指定することができます。また、その後見人が、きちんと役割を果たしているかを確認する「後見監督人」を指定することができます。そのため、後見人と後見監督人は同一人物ではないことになります。

 

指定の委託
遺産分割方法、相続分、遺贈、遺言執行者の指定を、第三者である弁護士などの専門家に委託することもできます。

 

遺言の取消
遺言者は、いつでも作成した遺言の全部または、一部を取り消すことができます。

 

祭祀主宰者の指定
系譜・祭具・墓などの祭祀財産の所有権は、相続財産とは別に、祖先の祭祀をとりまとめた人が承継することとなっています。その承継する人は、被相続人の指定があればその人が引き継ぎます。

 

ただし、被相続人より指定された人が引き継がなければ、慣習により決められます。慣習がはっきりとしない場合は、家庭裁判所が承継する人を決めることになっています。

 

 

遺言書は、法的な内容を書いておかなければならない書面ですが、補足として、相続分や分割方法を決めた理由、遺言書を作成した意図、作成したときの気持ちなど、遺言者の遺志を書き加えておくことも効果的です。

 

例えば、財産の価値や数字だけではなく、「自分の死後は、兄弟仲良くしてほしい」、「お母さんの面倒をみんなで見てほしい」、「相続で揉めないようにしてほしい」といった、被相続人の遺志を遺言書に記しておけば、相続人は受け入れやすくなるのではないでしょうか。



1.贈与税の申告と納税

 

贈与税の納税は贈与税の申告期限までに金銭で一時に、国に納める必要があります。
贈与税の申告は、原則、財産をもらった人が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までにすることになっています。
また、平成24年分の贈与税の申告より、インターネットからe-Taxを利用して提出(送信)ができるようになりました。詳しくはe-Taxホームページ(www.e-tax.nta.go.jp)にて確認してみて下さい。
なお、申告期限までに申告しなかった場合や実際にもらった額より少ない額で申告した場合には、本来の税金のほかに加算税がかかります。
また、納税が期限に遅れた場合は、その遅れた税額に対して延滞税がかかります。

 

2.贈与税の申告書の提出先

 

原則、贈与税の申告書の提出先は贈与を受けた人の住所を所轄する税務署です。

 

3.納税
(1) 現金で納付する場合
現金に納付書を添えて、金融機関(日本銀行歳入代理店)又は住所地等の所轄の税務署の納税窓口で納付してください。
※ 納付書(一般用)は、税務署又は所轄の税務署管内の金融機関で用意しています。 また、金融機関に納付書がない場合には、所轄の税務署でもらえます。
(2) e-Taxで納付する場合
自宅等からインターネットを利用して納付できます。
(3) コンビニで納付する場合
平成20年1月21日から、国税をコンビニエンスストアで納付することができるようになりました(以下「コンビニ納付」といいます。)。
コンビニ納付利用の条件
国税のコンビニ納付には、バーコード付納付書が必要です。
バーコード付納付書は、納付金額が30万円以下で次のような場合に所轄の税務署で発行します。
(1) 確定した税額を期限前に通知する場合(所得税の予定納税等)
(2) 督促・催告を行う場合(全税目)
(3) 賦課課税方式による場合(各種加算税)
(4) 確定した税額について納税者から納付書の発行依頼があった場合(全税目)

 

利用可能なコンビニエンスストア
エブリワン、くらしハウス、ココストア、コミュニティ・ストア、サークルK、サンクス、スリーエイト、スリーエフ、セーブオン、生活彩家、セイコーマート、セブン-イレブン、デイリーヤマザキ、ナチュラルローソン、ニューヤマザキデイリーストア、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ヤマザキスペシャルパートナーショップ、ヤマザキデイリーストアー、ローソン、ローソンストア100、ローソンマート

 

4.延納について
贈与税もほかの税金と同じく金銭で一時に納めるのが原則です。
しかし、一度に多額の納税をすることが難しい場合もあり、そのような方のために延納という納税方法があります。この延納は一定の条件の下に5年以内の分割により納税する方法です。
(1) 延納を受けるための要件
延納を受けるには、次の三つのすべてに当てはまることが必要です。
イ 申告による納付税額が10万円を超えていること
ロ 金銭で一度に納めることが難しい理由があること
ハ 担保を提供すること
ただし、延納税額が50万円未満で延納期間が3年以下の場合、担保は必要ありま
せん。
(2) 延納するための手続
延納しようとする贈与税の納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに、延納
申請書に担保提供関係書類を添付して所轄税務署長に提出することが必要です。
税務署長は延納申請書に基づいて延納の許可又は却下をすることになります。なお、延納できることになった税金には年率6.6%の利子税がかかります。
しかし、平成12年1月1日以後の期間に対応する延納税額にかかる利子税の割合については次の特例が設けられています。
贈与税の延納利子税の割合について、各分納期間の開始の日の属する月の2ヵ月前の月の末日の日本銀行の定める基準割引率に4%を加算した割合(以下「延納特例基準割合」といいます。)が7.3%に満たない場合には、その分納期間においては現行の利子税の割合に延納特例基準割合が7.3%に占める割合を乗じて計算した割合(以下「延納特例割合」といいます。)となります。

これを算式で示すと次のとおりです。

 

 

なお、平成26年1月1日以降の期間に対応する延納特例割合の計算における延納特例基準割合は、「前々年の10月から前年の9月における短期貸付けの平均利率の割合として財務大臣が告示する割合に1%を加算した割合」に改正されました。



暦年課税制度とは、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産の金額によって課税される制度を指します。

 

しかし、平成27年税制改正に伴い、贈与をした時期が平成27年1月1日よりも前か後かによって税率や控除額が変わるので注意が必要です。

 

以下に、それぞれの時期ごとに税率と控除額、速算表を掲載し説明をしていきます。

 

平成27年1月1日よりも前に贈与を行った場合

 

平成27年1月1日よりも前、つまり平成26年12月31日までに行った贈与財産に対して適用されます。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,000万円超 50% 225万円
 

上記の速算表をもとに、以下の式にあてはめていきます。

 

贈与税額 = [1年間で贈与された財産の合計額 - 基礎控除額110万円] × 税率 - 控除額

 

具体例として計算をすると以下の贈与税額が算出されます。

 

【例】1年間の贈与財産の合計額が500万円であった場合

 

基礎控除後の課税価格 500万円 - 110万円 = 390万円

 

基礎控除後の課税価格が390万円なので、上の速算表の「400万円以下」を参照すると税率は20%、控除額は25万円となります。

 

贈与税額の計算  390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

 

平成27年1月1日以後に贈与を行った場合

 

平成27年1月1日以後に行った贈与財産に対して適用されます。なお、改正によって贈与をした人が誰かによって一般税率と特別税率のふたつに分かれ、税率と控除額がそれぞれ異なります。

 

一般税率の贈与税の速算表
基礎控除後の課税価格 一般税率 控除額
200万円以下 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円
特別税率の贈与税の速算表
基礎控除後の課税価格 特別税率 控除額
200万円以下 10%
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円
 

上の速算表にある「一般税率」と「特例税率」についてそれぞれ説明をしていきます。

 

一般税率 : 一般贈与財産

 

一般税率は、一般贈与財産にかけられる税率です。一般贈与財産とは、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに贈与をされた財産をいいます。

 

 特例税率 : 特例贈与財産

 

特別税率は、特別贈与財産にかけられる税率です。特別贈与財産とは、祖父母や父母などから、子や孫などで、一定の年齢の人へ贈与された財産をいいます。

 

子や孫などで、一定の年齢の人とは、贈与を受けた年の1月1日現在で20歳以上の直系卑属のことをいいます。

 

直系卑属 : 子や孫など自分より後の世代で直線的に連なっている系統の親族

 

また、一年間のうちに一般贈与財産と特例贈与財産を贈与される場合があります。

 

その場合は、一般贈与財産と特例贈与財産を分けて、それぞれの税額を計算して合算します。

 

【例】1年間の贈与財産が一般贈与財産100万円と特例贈与財産400万円で合計500万円であった場合

 

基礎控除後の課税価格= 500万円 - 110万円 = 390万円

 

1) 一般贈与財産100万円の計算

 

上の一般贈与財産の速算表より、基礎控除後の課税価格「400万円以下」を参照すると、一般税率は20%、控除額は25万円になります。

 

一般贈与財産の贈与税額の計算  390万円 × 20% - 25万円 = 53万円

 

これに、一般贈与財産が全体の贈与財産に占める割合をかけます。

 

53万円 × (100万円 ÷ 500万円) = 106,000円

 

2) 特例贈与財産400万円の計算

 

上の特例贈与財産の速算表より、基礎控除後の課税価格「400万円以下」を参照すると、特例税率は15%、控除額は10万円になります。

 

特例贈与財産の贈与税額の計算  390万円 × 15% - 10万円 = 485,000円

 

これに、特例贈与財産が全体の贈与財産に占める割合をかけます

 

485,000円 × (400万円 ÷ 500万円) = 388,000円

 

1)と2)でもとめた額を足したものが、最終的な贈与税額になります。

 

106,000円 + 388,000円 = 494,000円

 

贈与税額の計算は、贈与をする人、贈与を受ける人を明確にし、それらが一般贈与財産なのか特例贈与財産なのかを明確にする必要があります。

 

また、財産のなかには株や不動産など、それぞれ評価額を決めなければならない場合があります。そのため、専門家のアドバイスを元に慎重に進める必要があります。



贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」のふたつがあります。以下に、ふたつの課税制度について説明をしていきます。

 

暦年課税とは
暦年課税とは、昔からある従来の課税方式です。その年の1月1日~12月31日の1年間に、贈与を受けた財産の価値を基に課税されるものです。ただし、その年に贈与を受けた財産の合計額が110万円の基礎控除額以下である場合には、贈与税はかかりません。

 

つまり、贈与財産の額が大きい場合でも、毎年、110万円以下ずつ贈与をすれば、贈与税がかからず、財産を贈与することができます。さらに、基本的に基礎控除以下であれば贈与税の申告も必要ありません。

 

仮に、年間110万円を超える場合には、年間の贈与額より110万円を引いた超過分の額ごとに税率が設定されています。

 

相続時精算課税とは
相続時精算課税とは、多くの財産を所有している贈与者が、若い世代へスムーズに贈与ができるようにつくられた課税制度です。平成15年1月1日より施行された、比較的若い制度です。

 

通常の贈与(暦年課税)では、1年間の基礎控除額は110万円です。そのため、年間に110万円を超える贈与が発生した場合には、贈与税額が大きくなってしまいます。

 

一方、相続時精算課税を選択した場合には、特別控除額は相続が発生するまでの累計で2,500万円です。そのため、財産を多く所有している贈与者が、まとめて受贈者へ財産を贈与したいときに、有効な課税制度といえます。

 

相続が発生するまでに、贈与総額が2,500万円を超えた場合は、超えた額に対して一律20%の税率がかけられます。

 

相続時精算課税制度を選択する時には、決まりがあります。下記に、相続時精算課税制度を選択するときの決まりをあげていきます。

 

贈与者 : 65歳以上の親
※平成27年1月1日以後は、税制改正により、60歳以上の親または祖父母

 

受贈者 : 贈与者の推定相続人である20歳以上の子
※平成27年1月1日以後は、税制改正により、贈与者の推定相続人である20歳以上の子または孫

 

なお、相続時精算課税制度を選択する場合には、上記の贈与者と受贈者を特定する必要があります。

 

しかし、相続時精算課税制度にはいくつかのメリットとデメリットがあります。相続時精算課税の特徴を踏まえ、実際に相続が発生したときに、相続税額をふたつの課税制度で十分に検討をする必要があります。そのため、相続に詳しい税理士に相談をして決めることが好ましいです。

 

相続時精算課税のメリット・デメリット

 

[メリット]

 

・ 将来、贈与者が亡くなったときに相続税がかからない場合には、相続時精算課税を選択することにより税負担なく、早めに多額の財産を贈与することができる

 

・ 相続の時には、贈与財産を贈与したときの時価で加算されるため、将来値上がりが見込まれる財産を贈与することにより、値上がり分だけ財産の評価を下げることができる

 

・ アパートなどの収益物件を贈与した場合、家賃収入は受贈者のものとなるため、贈与者の相続財産の増額を回避することができ、相続税対策になる

 

[デメリット]

 

・ 相続時精算課税を選択すると、その贈与者については、選択後は暦年課税に戻せない

 

・ 相続時精算課税による贈与財産は、相続財産に加算されるため、相続財産自体は減らせない

 

・ 相続時精算課税を選択して贈与された物件については、小規模宅地等の特例が適用できない

 

・ 相続時精算課税を選択して贈与された財産については、相続税の物納財産(不動産などの金銭以外の資産)に充てることはできない

 

・ 相続時精算課税を選択した場合には、特定された贈与者からの贈与は、その都度、申告が必要



贈与税の配偶者控除の特例とは、配偶者が居住用不動産の購入または、その建築資金を贈与されたときに贈与された金額から2,000万円まで控除することができるという制度です。

 

贈与税は、相続税を補う税として設けられているものですが、配偶者間の贈与については特別な措置が取られます。

 

なお、この制度による贈与については、110万円の贈与税の基礎控除(生前に財産を分けるときに必要な「贈与税」とはどんな税金か参照)との併用ができるので、合わせると年間2,110万円まで贈与税がかからないことになります。

 

ただし、贈与税とは別に不動産の取得にかかる不動産取得税、登録免許税などの費用がかかることに注意が必要です。

 

ここからは、贈与税の配偶者控除の特例について詳しく説明をしていきます。

 

配偶者控除の適用要件

 

・ 婚姻期間が20年以上であること
・ 今までに配偶者控除を受けていないこと(同一夫婦間で1度だけ適用可能)
・ 贈与財産は、居住用不動産、または居住用不動産の取得資金のいずれかであること
・ 贈与税の申告をすること
・ 贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与された、または取得した居住用不動産に居住して、その後も引き続き居住する見込であること

 

配偶者控除の特例を適用したときのメリット

 

[相続税対策]

 

贈与税の配偶者控除を適用した贈与のうち、この特例により控除した金額部分については、相続開始前3年以内の生前贈与の加算対象にはなりません。

 

たとえ、贈与をした年に相続開始となってしまった場合でも、特例の適用が認められることになります。

 

[所得税対策]

 

この特例を適用して、居住用財産を夫婦の共有財産にしておくと、将来自宅を売却する際に、居住用財産の売却益に対する3,000万円の特別控除という特例を夫婦で適用することができるため、合計で6,000万円の売却益まで税金がかからなくなります。

 

3,000万円の特別控除の特例は、土地の場合、家屋とともに譲渡する土地に限られるため、居住用不動産を配偶者に贈与する時には、家屋部分も贈与しておくことが必要になります。

 

なお、贈与税の配偶者控除については、相続税対策によく使われます。しかも、贈与をする際に、何を贈与するかによって納税額が変わります。財産を多く持っている人は、「どの財産」を「いつ」、「だれに」、「どれくらい」贈与すればよいのか、専門家に相談のうえで、事前に把握しておくことが必要です。



贈与税を納税する人は、原則として、贈与により財産を取得した個人に課税されます。つまり、現金や不動産などの財産を受け取った人に贈与税がかかるということです。

 

ここでいう「個人」とは、所属する団体や地位などとは無関係な立場に立った、人間として人格を持つ一人を指します。つまり、生身の人間のことを指します。

 

ただし、贈与税の税負担の公平を図るために、人格のない社団等(PTA、同窓会、町内会などのうち、代表者または管理者の定めのあるもの)や、持分の定めのない法人(一般財団法人、一般社団法人、学校法人、社会福祉法人、宗教法人など)も個人とみなして課税する場合もあります。

 

このとき、贈与税を納税する義務がある人には、「無制限納税義務者」、「制限納税義務者」のふたつに分けられます。

 

無制限納税義務者
無制限納税義務者では、国内、国外にある全ての財産が贈与税の課税対象になります。さらに、無制限納税義務者のなかでも、ふたつに分かれます。

 

居住無制限納税義務者 : 贈与により財産をもらった個人で、その財産をもらった時において日本国内に住所を有する人

 

非居住無制限納税義務者 : 贈与により財産をもらった日本国籍を有する個人で、その財産をもらった時において、日本国内に住所があった人(その個人または、贈与をした人が、贈与前5年以内のいずれかの時において、日本国内に住所があった場合に限ります)

 

制限納税義務者
制限納税義務者とは、贈与により、日本国内にある財産をもらった個人で、その財産をもらった時に、日本国内に住所があった人をいいます。(非居住無制限納税義務者に該当する人を除きます)

 

もらった財産のうち、国内にある財産だけが贈与税の課税対象となります。



相続税の計算方法を簡単に説明します。

 

相続税の額を算出するには、下記の5つのステップを行う必要があります。

 

[ステップ1] 相続税の課税価格の計算

 

最初に、相続または遺贈により、財産を取得した人ごとに課税価格を計算し、それらの合計した課税価格を求めます。

 

【課税価格の計算式】

 

① 相続または遺贈により取得した財産の価額

② みなし相続等により取得した財産の価額

③ 非課税財産の価額

④ 相続時精算課税に係る贈与財産の価額

⑤ 相続開始前3年以内の贈与財産の価額

⑥ 債務及び葬式費用の額

各相続人の課税価格(千円未満切捨)

 

難しい言葉ばかりのため、順番に説明していきます。

 

① 相続または遺贈により取得した財産の価額とは?
被相続人(亡くなった人)が相続開始の時に有していた財産です。現金、預貯金、土地、建物、有価証券、電話加入権、家具、宝石、車などがあります。

 

② みなし相続等により取得した財産の価額とは?
本来は相続財産ではないが、死亡を原因として、実質的に被相続人が有していたとみなされる財産のことです。死亡保険金、死亡退職金、生命保険契約に関する権利などがあります。

 

③ 非課税財産の価額とは?
性質、国民感情、社会政策的な面から、相続税をかけるのは不適当と思われるものが、非課税財産にあたります。例えば、墓地、仏壇等、国などに寄付財産、生命保険金・死亡退職金のうちの一定額などです。(詳しくは「財産評価の基本知識:相続税がかかる財産、かからない財産」参照)

 

④ 相続時精算課税に係る贈与財産の価額とは?
相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産の贈与時の価額です。相続時精算課税制度とは、簡単に説明すると贈与税の負担を少なくして、生前贈与ができる制度のことです。(詳しくは「贈与の基本知識:相続時精算課税と暦年課税」参照)

 

⑤ 相続開始前の3年以内の贈与財産の価額とは?
相続または遺贈により、財産を取得した相続人が、相続開始前3年以内にその被相続人からの暦年課税にかかる贈与によって取得した財産の価額です。暦年課税とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の贈与によって得た財産の金額が110万円を超えた場合に課税される方式です。(詳しくは「贈与の基本知識:相続時精算課税と暦年課税」参照)

 

⑥ 債務及び葬式費用の額とは?
債務とは、相続開始の時においてまだ支払っていなかった借入金、税金、入院費用などです。葬式費用とは、被相続人の通夜、葬儀に関して支払った費用です。ただし、初七日、四十九日などの支払いは含めません。

 

[ステップ2] 課税価格から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額を計算

 

【課税遺産総額の計算式】

 

①相続税の課税価格の合計 - ②基礎控除額 = 課税遺産総額

 

①相続税の課税価格の合計は、[ステップ1]で求めた相続人ごとの課税価格の合計です。
②基礎控除額は、相続人の数や家族構成により異なります。なお、平成27年1月1日より税制改正のため、基礎控除額に変更があります。大事なポイントなので、改正前と改正後について例を挙げて説明していきます。

 

 

【相続における基礎控除額の計算式(改正前:平成26年12月31日まで)】

 

基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 

例えば、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

 

基礎控除額が8,000万円なので、この基礎控除額を超える財産の相続があった場合に、初めて相続税の対象となります。
しかし、配偶者と子供2人が相続した財産が、8,000万円以下の場合には相続税の対象外となり、相続税の申告をする必要もありません。これは、8,000万円までの相続額は除外されるからです。

 

【相続における基礎控除額の計算式(改正後:平成27年1月1日から)】
基礎控除額は、平成27年1月1日より大きく改正されることになりました。改正後の計算式は以下の通りです。

 

改正後の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

 

先ほどの例で、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

改正前の制度では、8,000万円であった基礎控除額が4,800万円になります。つまり、配偶者と子供2人が相続した財産が、4,800万円を超える場合には相続税の対象になります。

 

基礎控除額を正確に把握するために、法定相続人の数を知っておく必要があります。法定相続人とは、民法によって定められた相続人のことです。

 

[ステップ3] 課税遺産総額を法定相続分に応じて、各相続人に振り分ける

 

法定相続分とは、民法で定められた相続人への分配の割合です。下記に例を挙げ割合を記しています。

 

1)配偶者と子が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 1/2
・ 子の相続分 1/2

 

2)配偶者と直系尊属(父、母、祖父母)が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 2/3
・ 直系尊属の相続分 1/3

 

3)配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
・ 配偶者の相続分 3/4
・ 兄弟姉妹の相続分 1/4

 

上記1)2)3)の順番で優先順位が決まっており、「子」、「直系尊属」、「兄弟姉妹」が複数いる場合は、上記のそれぞれの割合の中で均等に分けられます。

 

【例】 妻と子2人で課税遺産総額が1億円の場合

 

妻 1億円 × 1/2 = 5,000万円
子 1億円 × 1/4 = 2,500万円
子 1億円 × 1/4 = 2,500万円

 

[ステップ4] 相続税の総額の計算

 

法定相続分に応じた各相続人の取得金額に、下記に記す税率を適用して、各相続人の税額を計算します。そして、各相続人の税額を合計し、相続税の総額を算出します。

 

現行の税率速算表(改正前:平成26年12月31日まで)

相続税の総額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円
【例】 妻と子2人で課税遺産総額が1億円の場合

 

(1)妻 5,000万円 × 20% - 200万円 = 800万円
子 2,500万円 × 15% -  50万円 = 325万円
子 2,500万円 × 15% -  50万円 = 325万円

 

(2)妻800万円 + 子325万円 + 子325万円 = 1,450万円

 

※なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により下記の速算表の税率を適用し、各相続人の税額を計算します。

 

改正後の税率速算表(改正後:平成27年1月1日から)
相続税の総額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円
 
[ステップ5] 各人の納付税額の計算

 

(1)相続税の総額を、各人の課税価格に応じて割り振って、各人ごとの税額を計算します。

 

相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各人の相続税額

 

(2)相続または遺贈によって、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の人である場合には、相続税額に20%相当額を加算します。

 

(3)各人の税額から各種の税額控除額を差し引き、各人の納付税額を計算します。

 

 

各種税額控除の説明

 

【贈与税額控除】
贈与税額控除では、相続開始前3年以内に、被相続人からの贈与により取得した財産について、すでに贈与税が課税されている場合には、以下の計算した額を相続税額から控除します。

 

ただし、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。

 

[計算式]
贈与を受けた年分の贈与税額
×
相続税の課税価格に加算された贈与財産の価額
÷
その年分の贈与税の課税価格に算入された財産の価格の合計額

贈与税額控除額

 

【配偶者に対する相続税額の軽減】
被相続人の配偶者が、遺産分割や遺贈により取得した遺産額が、以下の金額のどちらか多い金額までは相続税はかかりません。

 

① 1億6千万円
② 配偶者の法定相続分相当額

 

配偶者の税額軽減は、配偶者が遺産分割などで実際に取得した財産を基に計算されることになっています。したがって、相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額軽減の対象になりません。

 

【未成年者控除】
未成年者控除が適用されるのは、次のすべての条件に当てはまる人です。

 

① 相続または遺贈により財産を取得したときに、日本国内に住所がある人または、日本国内に住所がない人であっても次のいずれにも当てはまる人
・その人が日本国籍を有している。
・その人または被相続人が、相続開始前5年以内に日本国内に住所を有したことがある
② 被相続人の法定相続人であること
③ 20歳未満の者であること

 

[計算式]
6万円 × 満20歳になるまでの年数 = 未成年者控除額

 

なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により、下記の計算式により未成年者控除額を計算します。

 

10万円 × 満20歳になるまでの年数 = 未成年者控除額

 

【障害者控除】
障害者控除が適用されるのは、次のすべてに当てはまる人です。

 

① 相続または遺贈により財産を取得したときに日本国内に住所がある人
② 被相続人の法定相続人であること
③ 85歳未満の者であり、かつ、障害者に該当すること

 

[計算式]
6万円(特別障害者12万円) × 満85歳になるまでの年数 = 障害者控除額

 

なお、平成27年1月1日以後は相続税の改正により下記の計算式により障害者控除額を計算します。

 

10万円(特別障害者20万円) × 満20歳になるまでの年数 = 障害者控除額

 

【相次相続控除】
1回目の相続があってから10年以内に、1回目の相続の相続人を被相続人とした2回目の相続があった場合、1回目の相続税の一部を2回目の相続の相続税から控除されることになります。

 

【外国税額控除】
外国にある財産を取得した場合に、外国で相続税に相当する税金を払ったとき、外国で払った税金分を日本の相続税額から控除します。外国税額控除額は、以下のどちらか少ない方の金額になります。

 

① 外国で支払った税金の額
② 【贈与税額控除】から【相次相続控除】までを控除した後の相続税額 × 海外にある財産の価額 ÷ 相続人の相続財産の額

 

【相続時精算課税分の贈与税額控除】
相続時精算課税により財産を取得した者は、相続時精算課税適用財産について課せられた贈与税がある場合には、その人の相続税額からその贈与税額に相当する金額を控除します。
ただし、当該贈与税額には、加算税、延滞税、利子税の額は含まれません。控除により、マイナスとなった金額があれば還付されます。



人が亡くなった場合には、その人が持っていた財産は相続人に引き継がれます。法律では、亡くなった人のことを「被相続人」と呼び、財産を引き継ぐ権利のある人を「相続人」と呼びます。民法では相続できる人の範囲を定めています。それを「法定相続人」と言います。

 

遺産を相続しようとするとき、必ず条件が必要になります。このときの条件を満たさなければ、遺産相続の権利すら得ることができません。

 

遺産相続の条件
被相続人が亡くなった時点で生存している配偶者がいれば、どんな時でも相続人になります。事実上、離婚状態で別居をしていても、戸籍上配偶者であれば相続人になります。しかし、籍を入れてない内縁関係にある方は相続人にはなりません。

 

また、親族が複数名いる場合は財産を引き継ぐ優先順位が下記のように民法で定められています。

 

[第1順位] 子(孫)
[第2順位] 父母(祖父祖母)
[第3順位] 兄弟姉妹(甥姪)

 

まず、第1順位の子が法定相続人になり、子が既に死亡している場合はその子(孫)が代わりに相続人になります。この、「子もしくは孫」のことを直系卑属といいます。

 

直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系卑属には養子は含まれますが、兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

 

第2順位である父母は、第1順位の子や孫がいなかったり、相続を放棄したりした場合に初めて相続人になります。この相続人を直系尊属といいます。

 

直系尊属は、父母・祖父母など自分より前の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系尊属には養父母は含まれますが、叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。父母が既に死亡している場合は、祖父祖母が相続人になります。

 

第3順位である兄弟姉妹は、子や孫、父母などがいない場合、またはそれらの全ての人が相続を放棄した場合に初めて相続人になります。

 

このように、相続ができる人の優先順位は決められています。しかし、本来相続人になるべき人が被相続人よりも早く亡くなった場合があります。このときは、「相続人になるべきであった人の子」が代わりとして相続人になります。これを、「代襲相続」といいます。相続が発生する場合には誰に相続をさせるかをルールに従って決めなければいけません。そのため、相続では戸籍の確認も必要となります。

 

しかし、相続人の範囲と優先順位だけでは分からない場合があります。例えば以下のような例があります。

 

【養子は相続人になるのか?】
養子縁組をしていれば、養子も実子と同じように相続人になります。再婚しても、連れ子は相続人にはなりませんが、養子縁組をすれば親子関係が生じ、相続人になります。ただし、特別養子縁組をしている場合は、養親だけを相続できることになっています。また、本当に養子なのかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本等を、確認してみて初めて分かることなのです。

 

【非摘出子(正式婚姻関係のない男女間に生まれた子)は相続人になるのか?】
非摘出子も父親が認知して正式な手続きがされていれば、実子、養子と同じように相続人になります。

 

【胎児に相続権はあるのか?】
妊婦の夫が亡くなった場合には、妊婦のお腹の胎児にも相続権があります。実際の相続行使は誕生後になります。もし、死んで産まれた場合には相続権は発生しません。

 

【前妻または前夫は相続人になるのか?】
相続人にはなりません。亡くなった時点での配偶者のみが、相続人となります。

 

【前妻または前夫との子は相続人になるのか?】
亡くなった方の実の子は相続人になります。ただし、前妻または前夫の連れ子は相続人にはなりません。ただし、連れ子であっても、亡くなった方と養子縁組をしていると相続人となります。

 

また、養子縁組をしているかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本などを、確認してみて、初めて分かることなのです。

 

【相続人に行方不明者(音信不通者)がいる場合は?】
相続人には変わりありませんので、行方不明だからといって、相続人からはずすことはできません。もし、行方不明者をはずして遺産分割をしても法的に無効となります。

 

その行方不明者が後から相続権を主張してくると、相続のすべてがやり直しとなってしまいます。このような行方不明者の生死や現住所を把握する方法としては、亡くなった方の戸籍謄本などから、行方不明者の戸籍謄本類と戸籍の附票を取得することで知ることができます。

 

以上、遺産を相続できる人について、だいたい把握できましたでしょうか? 相続人の間違いや勘違いの心配をなくすためには、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等」と「その相続人の戸籍謄本等」を取り寄せ、正確な相続人の把握をする必要があります。



山陽新聞(平成30年2月7日号)
「急がれる円滑な事業承継」 に掲載されました。



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