遺産分割の基本



被相続人の相続財産は原則、法定相続人が引き継ぐことになります。

 

しかし、本来相続人でない人にも財産を遺したい場合は、財産を贈与する「遺贈」という形で、遺言でその意思を伝えなければなりません。

 

※遺言を作成した被相続人(遺言者)よりも先に、遺言で財産を取得することになる人(受遺者)が死亡しているときは、その死亡した受遺者が受けるべきであった部分は除外されることになります

 

受遺者の相続人がその権利を相続することはできません。しかし、受遺者が亡くなっていることを想定し、遺言書に「受遺者が死亡しているときはその子に遺贈する」という意思表示がされていれば、受遺者の相続人が遺言者からの遺贈を受けることができます。

 

また、遺言書を実行するときに、遺言書に記載されていた財産の一部が既に処分されていた場合は、その部分は除外されますが、その他の遺言条項には影響はありません。

 

遺言は遺言者の一方的な意思表示なので、受け取る側は、遺贈の放棄をすれば「もらわない」という選択が可能ですが、遺贈の形式によって放棄できる期限があるので注意が必要です。

 

包括遺贈 : 遺産を特定することなく割合で指定する形式の場合
相続人と同一の権利義務を有することになるため、通常の相続と同様に、遺贈の放棄や限定承認は「遺贈があったことを知った日から3ヶ月以内」に行う必要があります。

 

 特定遺贈 : 具体的に財産を指定する形式の場合
いつでも遺贈の全部又は一部を放棄することができます。
放棄された遺産については分割協議を行うことになります。
遺贈により財産を取得した者も相続税を納める義務があります。

 

相続税の計算は、相続又は遺贈によって取得した財産の価格の合計が課税遺産総額となります。また、相続税の基礎控除は、受遺者が法定相続人でない場合、基礎控除の計算の数には含まれません。

 

さらに受遺者が被相続人の一親等の血族・配偶者でない場合には、その者の相続税額が2割加算されます。

 

一親等の血族とは、自分を基準とすると養親・養子も含む親と子です。

 

子が既に亡くなり、代襲して相続人となる孫には2割加算はありませんが、子供が生きていて孫を養子としている場合は、子という関係から除かれ、2割加算の対象となります。

 

また、兄弟姉妹以外の相続人は、「遺留分」という、遺言によっても侵害できない権利が与えられています。

 

遺留分を侵害する遺贈となると、遺留分を有する相続人から減殺請求をされてしまい、結局その限度までしか遺贈が認められなくなってしまいますので、遺言を書く際に注意が必要です。



遺産分割について2016年7月13日

今回は、「相続でよくある遺産分割とはなにか」についてお話します。

遺産分割とは、その名の通り、被相続人の遺した財産を相続人で分けることです。

しかし、被相続人の財産を分割する作業はとても大変です。
なぜなら、相続人を特定し、相続をする財産について全員の同意が必要だからです。

また、相続税の申告が不要の場合、分割の作業すらしていないこともあります。
しかも遺産分割の期限がないので、いつでもできるという意識から先延ばしになり、
結果、先代や先々代の名義のままになっていることもあります。

遺産分割されるまでは、相続人全員に相続する権利がある状態なので、
いつまでも共同相続人の共有状態となっています。

長年にわたり固定資産税を負担していたからといっても、
共同相続人代表として支払っていただけで、取得したことにはなっていませんので注意が必要です。

相続人が亡くなれば、またその相続人が対象として増えますので、世代が代わるたびにどんどん複雑になります。

その土地を売却したり、担保提供したりする場合は、その共同相続人全員の同意を得なければならず、困ったことになりかねないので、なるべく早いうちに分割手続を行うことが大切です。

以下に遺産分割についての詳細を説明していきます。

遺産を分割するときには基準があります
遺産を分割し、相続した後にその財産を管理できるかなども分割をするときの基準になります。
民法では、遺産分割の基準として、
「遺産に属する物・権利の種類・性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態、
生活の状況その他一切の事情を考慮してしなければならない」としています。

遺産分割の流れ
遺産分割は【遺言】 → 【協議】 → 【調停・審判・裁判】 の順序で行われます。

【遺言】についての説明
遺言により、自分が本来、相続人としてもらえる最低限の財産よりも少なかった場合
(遺留分の侵害)には遺留分減殺請求をすれば、遺留分相当の遺産を取り戻すことができます。
※遺留分減殺請求については遺言で可能な行為:認められること、できないことを参照

【協議】についての説明
以下の場合には、相続人全員で遺産分割協議を行います。
 ・ 遺言がない
 ・ 遺言により指定されている内容を変更したい
 ・ 遺言から漏れている財産がある
 ・ 遺言で相続分の指定のみされている

遺産分割協議は、相続人全員で行わなければならず、
1人でも欠けていれば無効となります。
一方、「1人の相続人が全ての財産を取得する」など、
どのような内容であっても、全員の同意があれば成立します。
全員の合意に至れば、遺産分割協議書を作成します。

【調停・審判・裁判】についての説明
共同相続人の間で協議がまとまらなかった場合、
各相続人は家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをすることができます。
調停は、調停官・調停委員が入り話し合いで合意へと導く手続です。
調停が成立しない場合は、審判手続きへと移行します。

このように、相続が発生したときには相続財産についてさまざまなことを考慮しないといけません。
そして、相続に携わる人たちが集まり、全員が同意しなければなりません。

また、簡単に分割ができれば良いですが、
遺言の有無や協議の難航など問題があった場合には、
時間も取られるので事前に綿密なスケジュールを決めておく必要があります。





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