相続税がかかる財産(課税財産)とかからない財産(非課税財産)とは?
目次
- 1 相続税がかかる財産(課税財産)とは
- 2 相続税がかからない財産(非課税財産)とは
- 2.1 墓地・墓石・仏壇・仏具・神棚・神具・祭具・位牌など
- 2.2 皇室の皇位継承によって受け継がれる三種の神器など
- 2.3 宗教・慈善事業・学術など公益や公共の事業を行う個人や団体が、相続や遺贈で取得した財産で、その公益事業のために使われるもの
- 2.4 障害のある人を扶養する人が、条例により地方公共団体から支給される給付金を受ける権利
- 2.5 相続人が受け取った生命保険金などのうち、非課税限度額
- 2.6 相続人が受け取った死亡退職金などのうち、非課税限度額
- 2.7 相続した財産を申告期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人のうち、教育・科学の振興・文化の向上・社会福祉への貢献などに寄付した財産
- 2.8 相続財産などを申告期限までに特定公益信託の信託財産に支出した金銭
- 2.9 相続や遺贈により取得した財産について、相続税の申告期限までの間に、災害によって取得した財産の10分の1以上が被害を受けた場合
相続税がかかる財産(課税財産)とは
被相続人(財産を残して亡くなった人)から、相続や遺贈によって取得した「すべての財産」が相続税の課税の対象となります。
すべての財産とは具体的に、下記のようにお金に変えることができる財産を指します。
相続税の課税対象となる例
- 土地
- 建物
- 個人の事業の固定資産・商品・材料・売掛金
- 同族会社などへの貸付金
- 特許権
- 株式
- 投資信託
- ゴルフ会員権
- 現金
- 預金
- 家具
- 車
- 骨董品
- 宝石 など
また、被相続人の所有していた財産ではなくても、「みなし相続財産」と呼ばれる財産があり、相続税の課税の対象となります。
みなし相続財産とは?
実質的には相続や遺贈によって取得したことと同様な経済的効果があると認められる財産です。例えば、被相続人の死亡によって支払われる生命保険金、被相続人の死亡によって受け取った退職手当金などを指します。
しかし、みなし相続財産のなかには、その財産の性質や社会政策的、国民感情などから相続税の課税対象とするのが適当でないものがあります。これを「非課税財産」といい、相続税の課税の対象とはなりません。
非課税財産には次のようなものがあります。
相続税がかからない財産(非課税財産)とは
墓地・墓石・仏壇・仏具・神棚・神具・祭具・位牌など
祖先を崇拝するという慣習や国民感情などに配慮して相続税はかかりません。ただし、骨董品や投資目的で所有する金の仏像などは課税対象となります。
皇室の皇位継承によって受け継がれる三種の神器など
皇位継承に伴う由緒物の承継であることから非課税となります。
宗教・慈善事業・学術など公益や公共の事業を行う個人や団体が、相続や遺贈で取得した財産で、その公益事業のために使われるもの
被相続人が死亡したときに、公益事業に使われるという具体的な計画があり、被相続人の死亡から2年以内にその計画通りに使われる場合に限られます。私的に使用される場合は課税対象となります。
障害のある人を扶養する人が、条例により地方公共団体から支給される給付金を受ける権利
相続人が受け取った生命保険金などのうち、非課税限度額
非課税限度額=500万円(固定)×法定相続人の数※1×(その相続人が受け取った死亡保険金の合計額÷被相続人のすべての相続人が取得した死亡保険金の合計額)
例えば、相続人が3人いて、Aさんが1,000万円、Bさんが800万円、Cさんが600万円の死亡保険金を相続した場合は下記のような計算になります。
[Aさんの非課税限度額]
500万円×3×1,000万円(Aさんの相続の額)÷2,400万円(ABC3人の合計額)=625万円
[Bさんの非課税限度額]
500万円×3×800万円(Bさんの相続の額)÷2,400万円(ABC3人の合計額)=500万円
[Cさんの非課税限度額]
500万円×3×600万円(Cさんの相続の額)÷2,400万円(ABC3人の合計額)=375万円
相続人が受け取った死亡退職金などのうち、非課税限度額
非課税限度額=500万円×法定相続人の数※1×(その相続人が受け取った死亡退職金の合計額÷被相続人のすべての相続人が取得した死亡退職金の合計額)
例えば、相続人が2人いて、Aさんが900万円、Bさんが600万円の死亡退職金を相続した場合は下記のような計算になります。
[Aさんの非課税限度額]
500万円×3×900万円(Aさんの相続の額)÷1,500万円(AB2人の合計額)=900万円
[Bさんの非課税限度額]
500万円×3×600万円(Bさんの相続の額)÷1,500万円(AB2人の合計額)=600万円
相続した財産を申告期限までに国、地方公共団体、特定の公益法人のうち、教育・科学の振興・文化の向上・社会福祉への貢献などに寄付した財産
ただし、適用を受けるためには、相続の申告時に明細書や寄付の明細などの添付が必要です。寄付を受けてから2年以内に特定の公益法人※2が取り消された場合や、公益事業のために使われていない場合は適用がありません。
相続財産などを申告期限までに特定公益信託の信託財産に支出した金銭
ただし、支出した本人又は親族などの関係者が相続税・贈与税の負担を不当に減少するためにしたものである場合は課税対象となります。
相続や遺贈により取得した財産について、相続税の申告期限までの間に、災害によって取得した財産の10分の1以上が被害を受けた場合
相続税申告書に被害の状況や被害額を記載することにより、災害※3の被害を受けた部分の価額を差し引いて計算することができます。ただし、損害保険金や損害賠償金等により補填された部分は除きます。