相続の基本


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人が亡くなった場合には、その人が持っていた財産は相続人に引き継がれます。法律では、亡くなった人のことを「被相続人」と呼び、財産を引き継ぐ権利のある人を「相続人」と呼びます。民法では相続できる人の範囲を定めています。それを「法定相続人」と言います。

 

遺産を相続しようとするとき、必ず条件が必要になります。このときの条件を満たさなければ、遺産相続の権利すら得ることができません。

 

遺産相続の条件
被相続人が亡くなった時点で生存している配偶者がいれば、どんな時でも相続人になります。事実上、離婚状態で別居をしていても、戸籍上配偶者であれば相続人になります。しかし、籍を入れてない内縁関係にある方は相続人にはなりません。

 

また、親族が複数名いる場合は財産を引き継ぐ優先順位が下記のように民法で定められています。

 

[第1順位] 子(孫)
[第2順位] 父母(祖父祖母)
[第3順位] 兄弟姉妹(甥姪)

 

まず、第1順位の子が法定相続人になり、子が既に死亡している場合はその子(孫)が代わりに相続人になります。この、「子もしくは孫」のことを直系卑属といいます。

 

直系卑属とは、子・孫など自分より後の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系卑属には養子は含まれますが、兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は含まれません。

 

第2順位である父母は、第1順位の子や孫がいなかったり、相続を放棄したりした場合に初めて相続人になります。この相続人を直系尊属といいます。

 

直系尊属は、父母・祖父母など自分より前の世代で、直線的に連なっている系統の親族のことです。また、直系尊属には養父母は含まれますが、叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は含まれません。父母が既に死亡している場合は、祖父祖母が相続人になります。

 

第3順位である兄弟姉妹は、子や孫、父母などがいない場合、またはそれらの全ての人が相続を放棄した場合に初めて相続人になります。

 

このように、相続ができる人の優先順位は決められています。しかし、本来相続人になるべき人が被相続人よりも早く亡くなった場合があります。このときは、「相続人になるべきであった人の子」が代わりとして相続人になります。これを、「代襲相続」といいます。相続が発生する場合には誰に相続をさせるかをルールに従って決めなければいけません。そのため、相続では戸籍の確認も必要となります。

 

しかし、相続人の範囲と優先順位だけでは分からない場合があります。例えば以下のような例があります。

 

【養子は相続人になるのか?】
養子縁組をしていれば、養子も実子と同じように相続人になります。再婚しても、連れ子は相続人にはなりませんが、養子縁組をすれば親子関係が生じ、相続人になります。ただし、特別養子縁組をしている場合は、養親だけを相続できることになっています。また、本当に養子なのかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本等を、確認してみて初めて分かることなのです。

 

【非摘出子(正式婚姻関係のない男女間に生まれた子)は相続人になるのか?】
非摘出子も父親が認知して正式な手続きがされていれば、実子、養子と同じように相続人になります。

 

【胎児に相続権はあるのか?】
妊婦の夫が亡くなった場合には、妊婦のお腹の胎児にも相続権があります。実際の相続行使は誕生後になります。もし、死んで産まれた場合には相続権は発生しません。

 

【前妻または前夫は相続人になるのか?】
相続人にはなりません。亡くなった時点での配偶者のみが、相続人となります。

 

【前妻または前夫との子は相続人になるのか?】
亡くなった方の実の子は相続人になります。ただし、前妻または前夫の連れ子は相続人にはなりません。ただし、連れ子であっても、亡くなった方と養子縁組をしていると相続人となります。

 

また、養子縁組をしているかどうかは、亡くなった人とその相続人の戸籍謄本などを、確認してみて、初めて分かることなのです。

 

【相続人に行方不明者(音信不通者)がいる場合は?】
相続人には変わりありませんので、行方不明だからといって、相続人からはずすことはできません。もし、行方不明者をはずして遺産分割をしても法的に無効となります。

 

その行方不明者が後から相続権を主張してくると、相続のすべてがやり直しとなってしまいます。このような行方不明者の生死や現住所を把握する方法としては、亡くなった方の戸籍謄本などから、行方不明者の戸籍謄本類と戸籍の附票を取得することで知ることができます。

 

以上、遺産を相続できる人について、だいたい把握できましたでしょうか? 相続人の間違いや勘違いの心配をなくすためには、「亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本等」と「その相続人の戸籍謄本等」を取り寄せ、正確な相続人の把握をする必要があります。



平成24年に実際に亡くなった人の相続税の課税割合は4.2%です。これは、「亡くなった人100人のうち、相続税がかかるのは4人程度」ということです。何も残さずに亡くなる人は少ないはずなのに、どうして4.2%の人にしか相続税がかからないのでしょうか?

 

相続税がかかるには、条件が必要です。この条件を学ぶことで、あなたに相続税がかかるかどうか判断できるようになります。

 

相続税を支払う人の条件とは
相続税は、財産を相続した全ての人にかかるのではなく、正味の相続財産(プラスの相続財産-マイナスの相続財産)である課税価格が一定の額を超える場合にだけかかります。

 

一定の額以内であれば相続税がかからないわけです。これを基礎控除額といいます。この基礎控除額とは、いったいどのくらいなのでしょうか?

 

基礎控除額=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数

 

例えば、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円

 

基礎控除額が8,000万円ということは、この基礎控除額を超える財産の相続があった場合に、初めて相続税の対象となるということです。

 

配偶者と子供2人が相続した財産が8,000万円以下の場合には相続税の対象外となります。8,000万円までの相続額は除外されるからです。また、相続税の申告をする必要もありません。相続税がかからないケースが多いのもうなずけます。

 

 

相続税改正後の基礎控除額
ただ、基礎控除額は、平成27年1月1日より大きく改正されることになりました。今回の改正により、相続税の課税割合は増えると予測されます。

 

では、改正後の基礎控除額はどのくらい変わってくるのでしょうか? これは、「改正後の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数」 へと4割程度減額します。

 

先ほどの例で、配偶者と子供2人が法定相続人である場合には次のようになります。

 

3,000万円+600万円×3人=4,800万円

 

現在の制度では、8,000万円であった基礎控除額が4,800万円になります。つまり配偶者と子供2人が相続した財産が4,800万円を超える場合には、相続税の対象になります。

 

基礎控除額を正確に把握するために、法定相続人を知っておきましょう。法定相続人とは、民法によって定められた相続人のことです。具体的には次の人たちです。

 

① 配偶者と子(孫)
② 配偶者と父母(祖父祖母)
③ 配偶者と兄弟姉妹(甥姪)

 

配偶者は常に相続人になります。それと併せて、法定相続人になる人は①から③の順です。法定相続人の数が分かれば、基礎控除額がどのくらいになるかを把握できます。

 

※1 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の数をいいます。
例えば、子供2人が財産をもらわず、亡くなった人の配偶者だけが財産をもらっていても、基礎控除額は5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円となります。

 

※2 相続人の中に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の数については、次の通り制限があります。

 

<被相続人に実子がいる場合>
→ 養子のうち1人までを法定相続人に含めます。
例えば、配偶者と実子1人、養子2人の場合
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
※実子がいるため、養子の数は1人までしか算入できません。

 

<被相続人に実子がいない場合>
→ 養子のうち2人までを法定相続人に含めます。
例えば、配偶者と養子2人の場合
5,000万円+1,000万円×3人=8,000万円
※実子がいないため、養子の数は2人まで算入できます。

 

ただし、小規模宅地の特例や特定計画山林の特例などを適用することにより、課税価格の合計額が基礎控除額以下となる場合には、相続税の申告をする必要がありますのでご注意下さい。

 

なお、相続税額は、相続財産、法定相続人、基礎控除額などをそれぞれ正確に把握しなければ、算出できません。そのため、必ず税理士にご相談ください。



相続が発生した場合、10ヶ月以内に相続税の申告と納付をしなければなりません。この10ヶ月をあなたは長く感じるでしょうか、実は、相続が発生した場合には、相続税の申告以外にも、しなければいけないことがたくさんあります。

例えば、被相続人が亡くなれば、すぐに通夜をとり行わなければなりません。その前に、関係者への連絡や葬儀の準備もあります。葬儀が終われば、葬式費用の処理があり、初七日法要の準備もあります。結局、相続税について、親族や遺族と話をすることすらできないかもしれません。そのため、相続税の申告までの10ヶ月は「短い」と考えるほうが良いでしょう。

ここから、相続税以外の申告や納付について説明をしていきます。

【準確定申告】
被相続人が、確定申告をしなければならない人の場合には、相続税の申告だけではなく、所得税や消費税を払わなければなりません。申告は、被相続人の代わりに、相続人が所得税や消費税の確定申告をします。これを準確定申告といいます。この、準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。以下に、準確定申告についての説明をしていきます。

[準確定申告をしなければならない人]
 ・ 自営業を営んでいた人
 ・ 2ヶ所以上から給与を受けていた人
 ・ 給与所得や退職所得以外の所得が合計で20万円以上あった人
 ・ 年間2,000万円を超えた給与所得があった人
 ・ 不動産などを売却した人
 ・ 生命保険や損害保険の一時金や満期金を受け取った人 など

[準確定申告の申告期限]
申告期限 : 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から、10か月以内です。しかし、準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。そのため、相続税のことだけではなく、所得税や消費税の申告があることを忘れないよう注意する必要があります。

[申告書の提出先]
提出先 : 被相続人の住所地を管轄とする税務署へ提出

[準確定申告の注意点]
給与について
相続開始時点で被相続人の受給されていない給与は、本来相続税の課税対象となるため、所得税は課税されません。

年金について
相続開始時点で被相続人の受給されていない年金は、被相続人の所得税の課税対象にはなりません。この年金を受給した相続人の一時所得となり、確定申告することになります。また、相続税の課税対象にならないため、相続税は課税されません。

不動産収入について
原則として、契約等により支給日が定められているものは、その支給日。契約等により支給日が定められていないものは、その支給を受けた日です。

※不動産収入の例外
次のいずれにも該当する場合には、その年の貸付期間に対応するものを収入に計上することができる
 ・ 帳簿に継続して記帳し、それに基づき不動産所得の金額を計算している
 ・ 継続的にその年中の貸付期間に対応する収入金額を計上している
 ・ 帳簿上その賃借料にかかる前受収益及び未収収益の経理を行っている

固定資産税について
準確定申告で固定資産税を必要経費に算入する場合には、固定資産税の通知がきた時点が相続開始前なのか相続開始後なのかで異なります。
(相続開始前に固定資産税の通知がきた場合)
「全額」・「納期到来分」・「実際に納付した額」のいずれかを必要経費に算入でき、有利な方法を選択することができます。
(相続開始後に固定資産税の通知がきた場合)
被相続人の準確定申告では必要経費とできず、相続人の確定申告で必要経費に算入することになります。

医療費控除について
被相続人が亡くなられた日までに被相続人が支払った医療費が対象になります。しかし、被相続人が亡くなった後に支払った医療費については、準確定申告の控除対象にはなりませんが、相続税の計算の際、債務として控除することができます。また、被相続人と生計を一にしていた親族が負担した場合には、その方の確定申告で医療費控除の対象となります。

社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等について
被相続人が亡くなられた日までに被相続人が支払った保険料等の額が対象になります。

配偶者控除、扶養控除について
被相続人が亡くなられた日の現況で判定します。



今回は「相続税の納め方」について簡単に説明をしていきます。

相続税はどのように納めるのでしょうか?

相続税は原則として、相続の開始があったことを知った日の翌日から、10か月以内に現金で(それも一括で)納めなくてはなりません。税金の納付場所は、金融機関(銀行、郵便局等)または所轄税務署です。もし、納付が定められた期限に遅れた場合など、期限までに納付されないときは、延滞税を本税と併せて納付する必要がありますので注意して下さい。

現金で一括で納めることが困難な場合は、どうすればよいのでしょうか?

「延納」と「物納」という二つの制度があります。
延納とは、期限内に現金で一括で納めることが困難な場合に、延納申請をして、相続税を5年~20年で分割して払う方法です。ただし、延納は年3.6%~6.0%の利子税を払う必要があります。

また、担保として何を提供したかによって、延納期間や利子税が異なります。金融機関から借りて納税をした方が、利率が低いこともありますので検討は必要です。ただし、延納ができる条件は決められていて、下記に記す要件をすべて満たさなければなりません。
① 相続税が10万円を超えていること
② 現金納付を困難とする理由があり、その納付を困難とする金額の範囲内であること
③ 相続税の納期限までに申請書を税務署に提出すること
④ 延納税額が50万円以上で、かつ、延納期間が4年以上であるときには、延納税額に相当する担保を提供すること

物納とは、不動産などの金銭以外の資産を多く相続した際に、相続財産である不動産や国債・地方債などの「モノ」で相続税を納める方法です。現金で一括で納めることはもちろんのこと、延納によっても現金で納めることが困難な場合に適応されます。

延納と同様に、物納ができる条件は決められています。次の要件のすべてを満たす場合に、物納の許可が受けられます。

① 延納によっても、現金で納めることを困難とする理由があり、かつ、その納付を困難とする金額を限度としていること
② 相続税の納期限までに申請書を税務署に提出すること
③ 物納を申請する財産が優先順位に従っていること
※ 物納に充てることができる財産は、相続財産のうち、以下の財産に限定されています。その財産が2種類以上ある場合の優先順位が決められています。
 第1順位 … 国債、地方債、不動産、船舶
 第2順位 … 社債、株式、証券投資信託、貸付信託の受益証券
 第3順位 … 動産(自動車、家具など)
※特定登録美術品は、上記順位にかかわらず物納に充てることができます。

④ 物納を申請する財産が、物納ができるもの(物納適格財産)であること
※ 相続財産の中でも物納ができないもの(物納不適格財産)と、他に適当な財産がないときにだけ認められるもの(物納劣後財産)があります。

【物納的確財産】
物納ができる財産
【物納不適格財産】
担保権がされている不動産、権利の帰属について争いがある不動産、境界が明らかでない土地など
【物納劣後財産】
耕作権等が設定されている土地、法令の規定に違反して建築された建物及び敷地、土地区画整理法による土地区画整理事業等の施行に係る土地につき仮換地又は一時利用地の指定がされていない土地など



今日は相続の開始についてお話します。

相続は民法により、「死亡によって開始する」と決められています。

つまり、相続は被相続人が死亡した瞬間から開始されます。
被相続人が死亡すれば、その相続財産は相続人の意志や内心などにかかわらず、
相続人にまとめて承継されることになります。

では、相続における「死亡」とはどういう意味なのでしょうか。
実は、死亡には医師によって死亡が認められた自然的な死亡のほかに、
法律上、死亡とみなされる「失跡宣告」や「認定死亡」を含む3種類があります。

以下に、法律上、死亡と認められた失踪宣告、認定死亡の特徴について記していきます。

 失跡宣告

失跡宣告とは、人が行方不明になり一定期間、生死が不明の状態となった場合、
その不明者を法的に死亡とする制度です。
これは、生死不明な状態が長く続いた場合、
残された配偶者が再婚できないなどの問題が生じてくるからです。
失踪宣告は、配偶者や相続人が家庭裁判所に申し立て、
認められれば死亡とみなして相続が開始されます。

失踪宣告には、「普通失踪」と「特別失踪」の2種類があります。

普通失踪(蒸発など):7年以上所在が不明の場合、家庭裁判所に申請

特別失踪(災難など):災難が去って1年以上、生死が不明の場合、家庭裁判所に申請

 認定死亡

認定死亡とは、水難・火災・震災など、生死の不明な者(死体が発見できていない者)で、
死亡の可能性が高い場合、死亡と認定する制度です。
取り調べにあたった海上保安庁や警察などの官公庁が死亡を認定して、
認められれば死亡と確定されて相続が開始されます。

なお、失踪宣告と認定死亡は
「不明者が実際に死亡したかどうかはわからないが、
死亡した可能性があるので死亡したものとして取り扱う」という点では同じです。
しかし、詳細については違いがあるので、相違点を下記に記していきます。

 死亡の確実性
 失踪宣告:不明者の生死が不明であっても使用することがある

 認定死亡:不明者が死亡している可能性が高い場合に使用する

 認定される機関
 失踪宣告:家庭裁判所が裁判で決定

 認定死亡:官公庁が死亡を認定し、戸籍事務を取り扱う市町村長に報告

 法的効果
 失踪宣告:不明者に対して死亡したと「みなす」

 ※「みなす」とは「法的に認める」という意味も含まれています。
このため、実際に不明者が生きていた場合でも、すぐに失踪宣告が取り消されることはなく、
再度、家庭裁判所で失踪宣告取消の裁判をしなければなりません。

 認定死亡:不明者に対して死亡したと「推定」

 ※「推定」であるため、推定の事象を覆す根拠
(例えば不明者が実際に生きているなど)を示せば取り消されます。
つまり、戸籍の死亡の記載は訂正されることになります。

失踪宣告と認定死亡には、このような違いがあります。



相続が発生した場合、10ヶ月以内に相続税の申告と納付をしなければなりません。この10ヶ月をあなたは長く感じるでしょうか、実は、相続が発生した場合には、相続税の申告以外にも、しなければいけないことがたくさんあります。

例えば、被相続人が亡くなれば、すぐに通夜をとり行わなければなりません。その前に、関係者への連絡や葬儀の準備もあります。葬儀が終われば、葬式費用の処理があり、初七日法要の準備もあります。結局、相続税について、親族や遺族と話をすることすらできないかもしれません。そのため、相続税の申告までの10ヶ月は「短い」と考えるほうが良いでしょう。

ここから、相続税以外の申告や納付について説明をしていきます。

【準確定申告】
被相続人が、確定申告をしなければならない人の場合には、相続税の申告だけではなく、所得税や消費税を払わなければなりません。申告は、被相続人の代わりに、相続人が所得税や消費税の確定申告をします。これを準確定申告といいます。この、準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。以下に、準確定申告についての説明をしていきます。

[準確定申告をしなければならない人]
 ・ 自営業を営んでいた人
 ・ 2ヶ所以上から給与を受けていた人
 ・ 給与所得や退職所得以外の所得が合計で20万円以上あった人
 ・ 年間2,000万円を超えた給与所得があった人
 ・ 不動産などを売却した人
 ・ 生命保険や損害保険の一時金や満期金を受け取った人 など

[準確定申告の申告期限]
申告期限 : 相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内

相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から、10か月以内です。しかし、準確定申告の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。そのため、相続税のことだけではなく、所得税や消費税の申告があることを忘れないよう注意する必要があります。

[申告書の提出先]
提出先 : 被相続人の住所地を管轄とする税務署へ提出

[準確定申告の注意点]
給与について
相続開始時点で被相続人の受給されていない給与は、本来相続税の課税対象となるため、所得税は課税されません。

年金について
相続開始時点で被相続人の受給されていない年金は、被相続人の所得税の課税対象にはなりません。この年金を受給した相続人の一時所得となり、確定申告することになります。また、相続税の課税対象にならないため、相続税は課税されません。

不動産収入について
原則として、契約等により支給日が定められているものは、その支給日。契約等により支給日が定められていないものは、その支給を受けた日です。

※不動産収入の例外
次のいずれにも該当する場合には、その年の貸付期間に対応するものを収入に計上することができる
 ・ 帳簿に継続して記帳し、それに基づき不動産所得の金額を計算している
 ・ 継続的にその年中の貸付期間に対応する収入金額を計上している
 ・ 帳簿上その賃借料にかかる前受収益及び未収収益の経理を行っている

固定資産税について
準確定申告で固定資産税を必要経費に算入する場合には、固定資産税の通知がきた時点が相続開始前なのか相続開始後なのかで異なります。
(相続開始前に固定資産税の通知がきた場合)
「全額」・「納期到来分」・「実際に納付した額」のいずれかを必要経費に算入でき、有利な方法を選択することができます。
(相続開始後に固定資産税の通知がきた場合)
被相続人の準確定申告では必要経費とできず、相続人の確定申告で必要経費に算入することになります。

医療費控除について
被相続人が亡くなられた日までに被相続人が支払った医療費が対象になります。しかし、被相続人が亡くなった後に支払った医療費については、準確定申告の控除対象にはなりませんが、相続税の計算の際、債務として控除することができます。また、被相続人と生計を一にしていた親族が負担した場合には、その方の確定申告で医療費控除の対象となります。

社会保険料、生命保険料、地震保険料控除等について
被相続人が亡くなられた日までに被相続人が支払った保険料等の額が対象になります。

配偶者控除、扶養控除について
被相続人が亡くなられた日の現況で判定します。



一度納めた相続税は、返してもらえる可能性があります。これを、「相続税の還付」といいます。
もちろん全員100%、相続税の還付ができるわけではありませんが、相続税を本来の適正な額よりも多く払いすぎた場合に、「更正の請求」という、間違いを正す申し出をすることができます。

【相続税は専門性がとても高い】
税理士は一般的に法人税、所得税を専門にすることが多く、相続税を専門としている税理士は極めて少数になります。また、相続財産の評価は100人の税理士に依頼すると100通りの評価額が出ると言われるほど、専門性の高い分野です。
つまり、本来の相続税額より多く納税をしている場合には、更正の請求により、払いすぎた税金が返ってくることがあります。

【土地の性質が複数あり、評価が分かれる】
相続が発生した場合、自己申告で税務署に申告をします。しかし、土地評価をすることはとても難しく、相続人が複数の場合は必ず遺産分割が必要になってきます。そのため、自分ですべて評価をして分割をすることは、まず不可能といってよいでしょう。

また、土地が適切に評価されてなく、自己の物差しで分割しようとすれば、当然、不満に思う相続人もいます。のちに、遺産分割・相続が「争続」になる要因にもなります。
不動産は更地だけでなく貸家及びその敷地、借地権等の諸々の利用形態があり、一律の価格ではありません。特に専門性が強い分野になるので、税理士に相談のうえで申告をすることが好ましいです。

相続人は専門性が高く、やり慣れていない相続税の申告作業を10か月という期間で行わなければなりません。
さらに、相続税は自己申告制度をとっているため、間違いによって過大に相続税を申告していたとしても、税務署から間違いを指摘してくることはまずありません。

このような現状から、一度納めた相続税を見直すことでお金が還付されることがあります。

<いつまで還付を受けられるのか?>
相続税の申告期限から5年以内であれば、相続税の還付を求めることができます。
[相続税の申告期限が平成23年12月1日以前の場合]
相続開始日
相続税申告期限 → 更正の請求 → 更正の申出 → 更正の嘆願
 (10ヶ月)       (1年間)     (2年間)      (2年間)

[相続税の申告期限が平成23年12月2日以後の場合]
相続開始日
申告期間 → → → → → → → → → → →更正の請求
(10ヶ月)                             (5年間)
※改正により更正の請求期間が5年以内に延長されました。



今回のコラムは、少し変わった(?)内容をテーマに書いていこうと思います。

被相続人が亡くなった場合、相続が発生します。
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日から10か月以内です。しかし、少ない財産だし、相続税はかからないだろうと思いこんで、相続税がかかるが相続税の申告をしていなかった場合はどうなるのでしょうか。そのまま、放っておいて、相続税を納めなくてよいことなど、あるのでしょうか?

まず、相続税の時効について説明したいと思います。

相続税は、原則として相続が発生してから5年経過すると時効が成立します。時効が成立するとは、相続税の申告も納付もしなくてよいということになります。

ただし、5年経過すると時効が成立するのは、相続税の申告や納付をする必要がないと信じきっていた相続人のみとなります。少しでも、相続税の申告をしなければならないとわかっていた相続人の相続税の時効は、7年経過後となります。

では、相続税がかかるとわかっていて、相続税を払わずに時効を迎えることはできるのでしょうか。

結論から言うと、相続税の申告そのものを時効で逃げ切ることは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。税務署というのは、大きなお金の動きや不動産の名義の書き換えを全てチェックしているからです。

そのため税務署は、誰が多額の財産を所有しているのか、十分に把握しており、その人が死亡したという情報は、所得税の申告などからすぐにつかむことができます。よって、相続税を無申告のまま時効を迎えることは、100%ありえないと考えていて間違いありません。

相続の開始があったことを知った日から10か月以内に相続税の申告をしていない場合には、期限後申告をすることになります。さらに、期限後申告にはペナルティーが課せられます。以下にペナルティーの内容を記載しています。

◆税務調査で指摘を受けた後に申告をした場合
[無申告加算税]
納付すべき税額が50万円までは15%、納付すべき税額が50万円を超える部分は20%
[延滞税]
納付期限から2か月間は原則年7.3%、納付期限から2か月を超える場合は14.6%

税務調査で指摘を受ける前に自主的に申告をした場合には、5%の無申告加算税と延滞税で済みます。そのため、期限後申告となってしまう場合でも、早急に対応することが重要です。

また、財産を仮装・隠ぺいして相続税の申告をしていない場合には、40%の重加算税と延滞税が課されますのでご注意ください。



相続は、親族の突然の死亡から開始します。そのため、頭が真っ白になり冷静に考えることができないかもしれません。

今回は、相続が開始されて、申告の手続きまでの流れを簡単に綴っていきます。
もし、ご親族に不幸があった場合、その後にしなければならないことを、少しでも知っておいてください。

相続が発生した場合、葬儀やその他の行事が立て込むことから、相続開始から相続税の申告期限までの期間は精神的にも物理的にも、意外に短く感じるものです。そのため、相続税の申告手続きは、できるだけ早めに、相続人全員の協力のもとに円滑に進めていきたいものです。

ここから、被相続人が亡くなった時の葬儀や相続税の申告、納付について、項目をあげて説明していきます。

 【被相続人の死亡】
 (相続の開始)
 関係者への連絡、葬儀の準備
 ↓
 通夜を執り行う
 ↓
 死亡届の提出 : 死亡届は7日以内に死亡診断書を添付して市区町村長に提出
 ↓
 葬儀
 ↓
 葬式費用の領収書等の整理・保管
 ↓
 初七日法要 : かたみ分けなどを行う
 ↓
 遺言書の有無の確認 : 遺言書があれば家庭裁判所で検認を受けた後、開封
 ↓
 香典返し : 三十五日忌又は四十九日忌法要のころに行う(ただし葬式費用には含まれません)
 ↓
 四十九日忌法要 : このころまでに納骨などを行う
 ↓
 遺産や債務の概要の把握 : 相続の放棄をするかどうか決める
 ↓
 相続の放棄又は限定承認 : 家庭裁判所に申述
 【被相続人が死亡して3ヶ月以内】
 ↓
 相続人の確認 : 被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せる
 ↓
 所得税の申告と納付 : 被相続人の死亡した日までの所得を税務署に申告(準確定申告)
 【被相続人が死亡して4ヶ月以内】
 ↓
 遺産や債務の調査
 ↓
 遺産の評価・鑑定 : 評価の仕方がわからないときは専門家に相談
 ↓
 遺産分割協議書の作成 : 相続人全員の実印と印鑑証明書が必要
 ↓
 相続税の申告書の作成 : 納税資金の準備、延納または物納にするか検討
 ↓
 相続税の申告と納付 : 被相続人の死亡した時の住所地の税務署に申告、納税
(延納、物納の申請も同時です) 【被相続人が死亡して10ヶ月以内】
 ↓
 遺産の名義変更手続き
 ↓
 不動産の相続登記や預貯金、有価証券の名義書換え

相続の開始は、人が実際に死亡した瞬間です。人の死亡と同時に瞬間的に相続が開始するので、相続人がこれを知っていたかどうかは問わず、申告までのスケジュールを実施しなければなりません。

また、相続が開始されてから申告までは、相続税法上、とても重要な決め事が多数あります。そのため、被相続人が亡くなってからの、しなければならないことを順番に、迅速に進める必要があります。



相続税とはどんな税金なの?

最近、「相続税が~」や「いままでかかっていなかった人がこれからは~」などという話をよく聞きませんか?

テレビや新聞、雑誌などでよく使われているこのフレーズですが、そもそも相続税って何なのでしょうか。そんなに世間で騒ぐほどのことなのでしょうか。このような状況をただ漠然とみている人も多いと思います。

さらに、単純なことですが、意外に相続税の性質まで把握されている人は少ないのではないでしょうか。

今回は初めてのコラムなので、少し「相続税」という言葉について、いまさらながら説明をしていきたいと思います。

日本に住んでいる人であれば、誰にでも納税の義務が発生します。その種類もさまざまであり、かかる税金も人それぞれです。また、これらの税金も誰がかけるかによって「国税」と「地方税」に分かれます。国がかける税金を国税といい、県や市がかける税金を地方税といいます。

その中で相続税は所得税、法人税とならんで国を支える国税の大半を占めています。

それだけ、国民から多くの税金をとっているともいえます。

【相続税の役割】
所得税や法人税は個人、法人へ一定の期間に稼いだ所得に対してかかる税金です。一方、相続税は亡くなった人の財産を受け継いだ時に、その財産の額が税法で定めた額以上の場合に発生する税金です。

毎年かかるものではないため、相続税は少し特殊な税金ともいえます。実際に相続が発生した場合、個人では所得税をきちんと支払っているにも関わらず、再度相続税を支払うことに違和感がある人もいるかもしれません。

しかし、国の本来の目的は

① 偶然に財産をもらった、という不労所得ではないか
② ある特定の人に財産が集中することを抑制する

ということで相続税をかけることにしています。

財産を相続すること、引き継ぐことに対して「得をする」や「財産が増える」といったプラスの面が見られがちです。しかし、財産相続するということは「プラスもマイナスも全て引き継ぐ」ということです。

マイナスの財産、つまり「負債」も引き継ぐことになります。一口に財産といっても、どこまでが財産なのかを把握するには、専門的な知識がなければ到底わかりません。

仮に財産を把握できたとしても、それぞれに相続税額の計算式があり、引き継ぐ人(配偶者や子、もしくは孫、さらには養子など)、さらに誰に引き継がせるかによっても計算式があります。

そのために専門知識を得た税理士がいます。税理士を利用することで、適正な相続税額を申告することができるのです。

【あなたも相続税を支払わなければいけなくなる?】
書店で相続の説明をしている書籍は数多く存在しますが、書籍での説明はあくまで「一般的」な見解になってしまいます。所有する財産の額と種類、各世帯の家族構成、実に無数の実例が存在します。そのような状況で書籍を見て、適正な税額を計算することは非常に難しいです。

では、実際に相続税を納めている人は日本国内でどれくらいいるのでしょうか。

国税庁が平成25年12月にまとめた申告の状況の概要では、平成24年に実際に亡くなった人は約126万人です。このうち相続税を納めた人数は約5万2千人で4.2%となっています。つまり、実際に亡くなった人の数が100人であれば、そのうち4.2人が相続税を申告したことになります。

また、亡くなった人、1人に対して財産を引き継いだ人の数は、平成24年で3.00人となっています。参考までに、対象となった財産の総額は10兆7,706億円、1件当たりでは2億557億円となっています。

その額に対して実際に納税した税額は1兆2,514億円、1件当たりでは2,388万円となっています。これらの数字を見ても、いかに国税として重要な税金であるかが分かると思います。

また、上記のような件数や税額は今後、増えると予測されます。なぜならば平成27年1月1日より税制改正により「相続税を納めなければいけない基準」が下がったためです。これが、世間で広く「相続」が取り上げられている要因なのです。

課税の対象者が増えることにより、相続税の件数も税額も増えることになります。当コラムを閲覧されている方も、今までは自分に関係のなかったことが、もしかすると関係してくることになり、相続税の対策が必要になるかもしれませんね。





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