債権・ゴルフ会員権・棚卸資産などの相続財産はどのように評価すればいい?
相続財産のなかで、当ホームページでは他のページで土地・建物や株・投資信託・公社債、骨董品・美術品や保険金の評価方法を説明しています。
その他にも、評価をしなければならない相続財産があります。以下に、それらの評価方法を説明していきます。
預貯金
評価額 = 預入高 +(既経過利子の額-源泉所得税相当額)
貸付金などの債権
貸付金、売掛金、未収入金、預け金(預貯金以外)、仮払金、その他これらに類するものについては、次のように評価します。
評価額 = 元本の価額 + 利息の価額
※元本の価額とは返済されるべき金額
※利息の価額とは課税時期現在の既経過利息
ただし、その債権金額の全部または一部について、被相続人の死亡時において、回収不能であるなど一定の事実が発生しているときは、その金額は元本の価額には含まれません。
一般動産
一般動産とは、事業用の機械及び装置・器具備品・車両運搬具や一般家庭用の家具・什器・衣料・車両、農耕用動産などです。評価をするときは、1個または1組ごとで評価します。ただし、少額なものはそれぞれ一括して、一世帯、一農家、一旅館などで評価をします。
評価額 = 売買実例価額、精通者意見価格等を参考に評価した金額
※精通者意見価格とは、プロの鑑定士による評価額をいいます。
売買実例価額、精通者意見価格等が明らかでない場合
評価額 = 新品小売価額 - 経過年数に応ずる償却費の額(償却方法は定率法)
電話加入権
電話加入権とは、NTTと契約しているものをいいます。そのため、PHSや携帯電話の加入権は評価しません。
取引相場のある電話加入権
評価額 = 課税時期における通常の取引価額
取引相場がない電話加入権
評価額 = 電話取扱局ごとに国税局長の定める標準価額
ゴルフ会員権
取引相場のある会員権
評価額 = 課税時期における通常の取引価格 × 70%
※取引価格に含まれない預託金等がある場合には、返還時期に応じた預託金等の額を加算します。
取引相場のない会員権
株式制会員権
株主制会員権とは、ゴルフ場の株式を買うことで会員となるものです。株式制会員権の評価は以下の通りです。
評価額 =課税時期において、取引相場のない株式として評価した金額
預託金制会員権
預託金制会員権とは、施設利用権として、お金をゴルフクラブ経営会社に預けることで会員になるものです。預託金制会員権の評価は以下の通りです。
評価額 =預託金等の額
※課税時期から一定期間経過後に返還を受けることができる預託金等は、返還を受ける金額の課税時期から返還日までの期間に応ずる長期・中期・短期のいずれかの基準年利率による複利現価の額
株式と預託金の併用制会員権
評価額 =取引相場のない株式として評価した株式の価額 + 預託金等
プレー権のみの会員権
評価の対象となりません。
農業協同組合や漁業協同組合の出資
農業協同組合や漁業協同組合等の一般的な産業団体に対する出資の価額は、払込済出資金額によって評価します。
医療法人の出資
医療法人は次の3つに分類され、評価の必要性の有無が異なります。
社団である医療法人で出資持分の定めがある場合
出資に対する持分権があるので、売買・相続・遺贈・贈与等の対象となり評価が必要です。
なお、この場合の評価価額は、取引相場のない株式の評価方法を準用して評価します。
社団である医療法人で出資持分の定めがない場合
社員について持分権を有しないため評価は不要です。
財団である医療法人
出資持分の概念がないため、評価は不要です。
持分会社の出資
持分会社は、合名会社・合資会社・合同会社の総称です。持分会社の出資の価額は、取引相場のない株式の評価方法を準用して評価します。
棚卸商品
種類および品質がおおむね同一のものごとに評価します。
商品、製品及び生産品
課税時期における販売価額 - 販売業者の適正利潤の額 - 販売業者が負担すると認められる予定経費の額 - 販売商品についての消費税額
原材料
課税時期における仕入価額 + 引取り等に要する運賃の額 + その他の経費の額
半製品及び仕掛品
課税時期における原材料の仕入価額 + 原材料の引取り・加工等に要する運賃の額 + 加工費の額 + その他の経費の額
まとめ
相続が発生した場合、相続財産を把握しそれぞれ評価をしなければいけません。相続財産が多い場合には、評価をするだけでもとても時間がかかります。
当然、相続財産の評価以外にしなければいけないことはたくさんあります。そのため、相続税の申告まで時間に余裕をもち取り組む必要があります。