【令和6年分申告】所得税・消費税・贈与税に表れた新制度の影響
5月30日、国税庁より「令和6年分の所得税、消費税および贈与税の確定申告状況等について」が公表されました。
今回のデータでは、各税目において近年の税制改正が確実に影響を及ぼしている様子が数値として浮き彫りになっています。
【所得税】定額減税により納税額ゼロのケースが増加
令和6年分の所得税等の確定申告書提出者は2,338万9,000人(前年比0.6%増)とわずかに増加しました。
しかし、定額減税の影響により、納税額が発生した人は517万5,000人(前年比22.6%減)と大きく減少した一方で、納税額ゼロとなった人は468万1,000人(同53.5%増)に達しています。
また、株価上昇を背景に株式等の譲渡所得は前年から42.7%増加し、土地や株式などの譲渡所得はそろって過去最高の水準を更新しました。
【消費税】インボイス制度2年目の影響が継続
インボイス制度導入2年目を迎えた消費税の確定申告では、申告件数が212万件(前年比7.5%増)、申告納税額は約8,004億円(同16.8%増)といずれも2年連続で増加しました。
また、インボイス発行事業者となった個人事業者は221万人に上り、そのうち約81万人が「2割特例」を活用しています。
【贈与税】相続時精算課税の利用が急増
贈与税では、相続時精算課税の基礎控除拡充の影響を受け、同制度を利用した申告者が7万8,000人(前年比59.2%増)と大幅に増加しました。
一方、暦年課税を選択した人は前年比14.0%減少しており、結果として贈与税全体の申告納税額は3,935億円に達し、過去最高を更新しています。
まとめ
令和6年分の申告状況からは、定額減税、インボイス制度、贈与税制度改正といった近年の税制改正の影響が明確に数字に表れています。
さらに、e-Taxの利用が全体の約4分の3を占め、そのうち半数近くはスマートフォン経由での申告となっており、申告手続きのデジタル化が着実に進展していることも確認できます。